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忠犬ネルビーの大冒険  作者: 蒼穹月
そして日常へ
14/19

リリの新しい巣

 おれは今リリの新しい巣にいる。

 新しい巣は前の所と違って小さい。


 『良いなっ、ココ。リリが凄く近いぞっ』


 前は無駄に広過ぎてリリの寝床とおれの寝床が遠かったんだ。

 あまりに遠過ぎて結局おれは自分の寝床で殆ど寝なかった。リリを一人で寝かせらんないからなっ。


 「ほっほっほ。また賑やかな子が増えたのう」


 リリの新しい巣には白い毛の人間がいた。どうやらココの主らしい。


 『という事は家族だな!』


 一緒の巣に住むのは家族だ。前より数は少ないけど立派な家族だ。

 そう思ってリリを見上げたら何だか目をいっぱいに開いて驚かれた。何でだ?


 『一緒の巣に住むのは家族だ。違うのか?』


 おれは何か間違ったんだろうか。

 不安になって耳も尻尾も垂れ下がってしまった。

 同じ獣仲間として三巳という獣の神の子供に問うように目を向けてみる。でも三巳は苦笑しか返してくれなかった。

 いよいよわからなくって項垂れてしまう。

 でもジジ上が優しく頭をポンポンして慰めてくれた。

 ジジ上はロキというお医者さんらしい。


 「わきゅ~ぅん」

 「成る程のう。そうじゃなぁ」


 ジジ上はおれの耳裏を掻き掻きしながら三巳にあらましを聞いている。

 おれは耳が気持ちいくって話が上手く聞き取れない。でもおれが何で困っているのかを話してくれたみたいだ。


 「ほっほっほ。そうじゃのう、もう一緒に住んでおるしのう。ワシも家族と思うておるよ。

 リリはどうかのう」

 

 ジジ上がリリを下から覗き込んで聞くと、リリは盛大に大粒の涙を流してしゃがみ込んでしまった。


 『リリ!?ダイジョブか!?』


 泣き方が悲しんでいないのはわかる。凄く嬉しそうなのもわかった。

 でも何で嬉しくて丸まって泣いちゃうのか、おれにはまるでわからなくって狼狽る。

 一生懸命頭の毛に鼻頭を押し付けて、見えるほっぺたを舐めてあげる。


 「リリや、如何じゃろうのう」


 ジジ上がおれごと抱き込んで頭を撫で撫で、背中をポンポンして一緒にリリを勇気付けてくれた。

 そしたらリリは「うん」って、とってもとっても小さな声だったけど頷いたんだ。

 ジジ上にも聞こえたみたいで、さっきよりもっとずっとほんわか優しく微笑んでる。目尻にちょっと水が浮いてた。

 でも男は泣かないもんだって教わったから、おれは黙っててあげるんだ。

 結局何でリリは泣いちゃったんだろう?おれにはよくわからないや。でもリリはとっても幸せそうだからいっか。


 とにもかくにも。

 おれに新しい家族が出来た!ちゃんちゃらーん!

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