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夢が終わらない  作者: K
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8

「何?何、笑ってるの?神様にとって、人の人生なんて、どうでもいいことなの?お遊びなの?」


「そんなことはない。」

 神は、笑いを止め、即座に否定した。


「じゃあ、何故、笑ったの?理不尽な人生を終えた私を、神様は、どうして笑えるの?」

「いや、その人生には笑えない。」

「酷い人生だと思うわけ?かわいそうだと思うの?」

「その通りだ。」

「じゃあ、じゃあ、どうして、私を見殺しにしたの?何で、殺されてしまうまで、私を助けてくれなかったの?私の人生を滅茶苦茶にしたのは、神様なの?」


 怒りが、再びこみ上げてくる。

 理不尽だ。

 理不尽すぎる。


「そうとも言えるし、そうでないとも言える。」

「どういう意味?」

「お前の運命を作り出したのは、俺であり、お前自身でもあるからだ。」

「どういうこと?謎々なんて、聞きたくない。」

「謎々じゃない。真実だ。」

「そんな、禅問答みたいな答えで、私が納得すると思うの?」

「納得しなくても、それが事実だ。」

「一体、何なのよ?」


 美樹は、神の答えを図りかねた。

 神が、何を説明しようとしているのか、理解できなかった。

「どういうこと?さっき、神様は、私が理不尽な目にあったことを怒っていいって言ったじゃない。あれは、神様のプログラムだったの?もし、そうだとしたら、それが、どうして私自身が作ったことになるの?私は、ただの被害者じゃない。どうして、私をそんな目にあわせるのよ?」

「それは…」

「ひどい、ひどすぎる!!」

 神が何か言いかけるのを遮って、美樹は泣いた。

 多分。

 頬を涙が伝うはずだが、その頬の感触はなかった。あふれた涙の感触はなかった。

「ひどい、ひどい、ひどい!!」

 おそらく、生きているうちに、こんなに叫んだことはない。

 大声で喚き散らすことなんて、こんなに感情的に叫んだことなんて、おそらくなかったはずだ。

「確かにひどい話だ。」

 神は、美樹の叫び声に動じることもなく、静かな声で言った。

「何の罪もない向坂美樹にとっては…。心から同情したい。」

「ふざけてるの?」

 怒りは収まるどころか、更にエスカレートする。

「その酷い人生を、私は経験したの。何の為に?どうして?」

「知りたいか。」

 神は、再び、あの言葉を告げた。

「知りたい。もし、理由があるなら、教えて。」


 神は、また、しばらく沈黙し、そして、告げた。

「そこまで、お前が望むのであれば、教えてやろう。いや、むしろ、俺は、お前には、伝えたかったんだ。」

「?」



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