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時間の感覚がわからない。
自分が、どれだけ思考に時間を使っていたのかわからない。
けれども、自分の人生が終わったことだけは、確信していた。
死んだという事実を、認めるというより、わかっていたという方が正しいかもしれない。
言葉では、説明できないが、美樹の人生が終わったということは、美樹の頭の中で、はっきりしていた。
じゃあ?
疑問は、余裕と同時に生まれてくる。
「ここは、どこなの?」
素朴な疑問だった。
神に対する怒りと不信感が消えたわけではないが、美樹が死んだという事実の認識が、美樹の思考を少しだけ冷静に戻してくれた。
「ここは?」
神は、美樹の混乱した時間の間、ずっとその場にいたのだろうか?
すぐに返事が返ってきた。
「生と生の間になる。」
「生と生の、はざま?」
「今は、プログラムのセッティング中だ。」
プログラム?
生と生?
「私は、生まれ変わるの?」
「そうだ。」
神の言葉から導き出した推理を、神はあっさり肯定した。
生まれ変わりを信じていないわけではなかった。
けれども、こんな形で、生まれ変わるとは思わなかった。
「次の生って、決まっているの?どんな人生かって、決まっているの?」
「どんな人生?」
「今、プログラムのセッティングしてるって言ったじゃない。神様が、人生をプログラムしているの?お願い、教えて。次の人生って、どんな人生なの?」
大事なことだと思った。
美樹は必死だった。
「教えて。私は、次は、どんな人生を生きるの?男?女?どんな家族が待ってるの?私は、どうなるの?今度こそ、幸せになれるの?結婚できる?」
「結婚?」
すると、何故か、神は、低い声で笑い出したのだ。