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夢が終わらない  作者: K
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6

 え?

 何、言ってるの?


 神は、更に続けた。

「向坂美樹は、何も悪いことはしていない。むしろ、その人生は、人に誇れるものだった。病弱な家族がいた為に、生活が困窮し、苦労していたことをバネにし、人を助ける仕事をしたいと、看護師を目指した。自分は、貧困の為に、いじめられたことはあっても、人をいじめたことはない。誰にでも分け隔てなく接し、看護師の仕事にも誇りを持っていた。まさか、誠心誠意尽くしていた患者の一人からストーカーされるとは思ってもみなかったろう。一方的な恋情に振り回された挙句に、殺された。理不尽な人生だ。これからだというときに…。」


「殺された?」

 美樹は、反芻した。

「私は、殺されたの?」


「向坂美樹は、死んだ。」

 神は、淡々と答えた。


 殺された…。

 衝撃は大きかった。


「私は、死んだの?」


 でも、それが事実なんだろうと、妙に納得するものがあった。

 確かに、あれだけの出血で、生きていられるわけがない。

 刃の先は、動脈に届いていた。

 看護師の自分は、わかっていた。

 私は、助からない。

 今、もし、助けが来たとしても、私は、助からない。

 あの時、それは、わかっていた。


「私は、死んだ…。」


 死んだのだ。

 意識が遠のき、記憶が途絶えたあの時に、終わったのだ。

 もう、あの恐怖も痛みも感じなくて済む。

 全てが終わった。

 向坂美樹の短かった人生も。



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