第一話『偽名と匿名』
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その日、10月7日、桃太郎で有名なとある県にあるホテルの一室を借りていた俺は、自分で6時半にセットした目覚まし時計の不親切とも言える騒音で目を覚ました。
つい先日までは夏の暑さですぐに布団から出られた俺だったが、もうそんな暑さはなかったのではないかと言わんばかりの寒さで布団から出るのを5分ほど躊躇ったのだが、結局その後、俺はしぶしぶと布団から出たのであった。
俺は朝起きると最初に、コーヒー片手にメールが来ていないかをチェックするようにしている。コーヒーにさほど意味はないが、あるとなんかそれっぽさが出てくるので飲むようにしてる。ちなみに俺は甘党だ。
メールをチェックし終え、朝食に出ようとした時電話がかかってきた。まだ朝7時だというのにどこの誰が電話をかけてきたのか気になった俺は、『愚かにも』その電話に出てしまった。普通、朝早くからかかってきた電話ごときに『愚かにも』などという表現は使わないが、その電話がきっかけで俺が巻き込まれてしまった出来事のことを考えると『愚かにも』という表現で間違いないだろう。
電話をかけてきた女の一言目は確かこうだ。「あなたは誰ですか?」だ。正直意味が分からなかった。それはこっちのセリフだろ。間違い電話か何かかと思って俺はとりあえず「私は三宅と申します。」と答えた。三宅というのはもちろん嘘だ。というか、偽名を名乗っておいてこんな事を今更言うのもおかしいかもしれないが、そっちから名乗るべきだろ。なんで俺がよくわからない携帯の向こうの女に対して先に名乗らなければならないんだ。
少しイラついた俺は、大人げないことに「あのー、そっちの名前がまだなんですが?」と申し訳なさそうな感じを出しつつ、それでもイラついているとわかるような言い方で相手の名前を聞き出そうとした、すると女性は「名前はまだ言えません。でもあなたと会って話がしたいんです。」と言ってきた。
ますます意味が分からない。人に名前を聞いておいて自分は言えませんと来るものだから電話を切って朝食を食べに行こうと思ったのだが、彼女が最後に行った『あなたと会って話がしたいんです。』という言葉が気になって電話を切ることはしなかった。
〈続く〉
話がめちゃくちゃな方向に進みつつあるような気がしてきた(まだ一話)




