陰毛スレイヤーと呼ばれた男
陰毛スレイヤーと呼ばれた男
「……ふざけるな!!!」
目の前にいる女が怒声を上げる。
その声に周囲の冒険者達が一瞬静かになるも、またすぐに喧騒を取り戻した。
「俺には関係の無い話だ、帰れ」
俺は睨みを効かせながらイラつきをそのまま声にする
「ぐっ……いや、世界の危機だぞ!!貴方の実力は知っている!貴方が手を貸してくれればこの危機も超えられるかもしれないんだ!」
女は一瞬たじろぐもなんとか俺を説得しようと勢いをつけてくる。
「何が不満なんだ!報酬か?待遇か?なんでも言ってくれ!出来る限り希望に応えてみせる!」
「そんなものはどうでもいい、この依頼は受けない、話は終わりだ」
俺がこの依頼を受けることはないだろう
「なぜだ!せめてそれだけでも教えてくれ!」
それは
「俺は陰毛以外にこの力を使わないのだ」
陰毛スレイヤーだからだ。
「貴方が…陰毛スレイヤーの…アビゲイルだったの……か……」
女は驚愕と絶望を顔に表し、硬直している。
俺はそれを尻目に出口へと向かった
世界の危機とやらを言っていた女を相手したその次の日、いい依頼が入った情報を耳にしたので冒険者ギルドへ向かう。
大きな木製の扉、頑丈そうなレンガ造りの壁、まるで小さな城のような建物の中に入ると、外面とはまるで違い、居酒屋のような中身をしている。
相変わらずの酒や汗の臭いに鼻が曲がりそうになる。
一刻も早く出るために足早にカウンターへへ向かい、依頼を聞きに行く。
「あんらまぁ~アビちゃん今日は依頼入ってるわよぉ~」クネクネ
カウンターの受付をしているこのでかい図体でクネクネ腰を動かす気持ち悪い髭面の名はボルビ、元凄腕の冒険者だが今は冒険者ギルドの看板娘(?)だ。
「1番報酬が高いのを受ける、目的地と内容を読み上げろ」
「いつも通りねぇん!場所はバズガル火山で炎陰毛龍ガガドラールの…撃退か討伐……ちょっとアビちゃん、こんなの1人で受ける依頼じゃないわよ!!」
読み上げるにつれ顔を歪ませる、ブサイクが更にブサイクになっていく様子は見てて苦痛だ
(だが、炎陰毛龍ガガドラール……過去に苦汁を飲まされた相手だ…必ず勝つ…!)
「問題ない、じゃあ行ってくる」
「ちょっ!アビちゃんたらぁ!!!」
返事を聞き流し、愛用の大型剃刀を腰につけ、バズガル火山へ向かう。
俺は今日も陰毛を剃り倒すのだ
暇だったらまた書くかもしれん