ハードモードが更に詰んでいた件
明けましておめでとうございます。
2018.03.31 「生前」を「前世」に訂正。
◇ヒトリ島・2日目(続き)◇
水海との通話を終え、私は『たまご』と『にたまご』を抱えてダンジョンに戻った。
最初の部屋で『たまご』と『にたまご』を降ろすと、寝床を用意する。
『コドク』って、どんな巣で暮らしていたんだろう?
ま、猫用ベッドで良いか。
猫ちぐら型30DP・オープンベッド型50DPを二つずつ。どちらかは気に入ってくれると良いな。
DPは、残り830。
「『たまご』・『にたまご』、これ寝床ね。無理して使わなくても良いけど」
二羽が寝床に近付いて興味を示しているのを見てから、自分の部屋へと通路を四つん這いになって進む。
一々移動し辛いとは思うものの、立って歩けるようにすると侵入者にとっても移動しやすくなってしまうので、仕方が無い。
私は通路から部屋に出ると、伸びをして【浄化】をかける。
ふと、茣蓙の事を思い出した。
昨日思い付きたかったな~。そう思いながら、茣蓙を交換しようとして保温シートの方が良いかなと思い直した。
30DPで交換して、地面に敷く。
その上に20DPで交換した円形のラグを敷き、直置きしていた寝袋等を【浄化】して再設置。
はさみを20DPで交換して、保温シートのはみ出ている部分を切り取った。
これで、残り760DP。
さて、お休みなさい。
◇ヒトリ島・3日目◇
翌日。
最初の部屋に移動すると、『たまご』が卵を産んでいた。鶏卵より大きかった。
有精卵かもしれないのでちょっと良心が痛むが、ダンジョンに吸収する。
食料リストに生卵が追加された。
10DPとそれを交換し、小型の鍋を10DPで交換する。
水は……魔法を覚えた方が結局は得かな? それとも、飲用には適さない?
迷ったものの、結局、夜に水海に聞いてからにしようと、飲料水を10DPで交換。
残り、730DP。
七輪でゆで卵を作り、吸収。食料リストにゆで卵が追加された。
また生卵を交換し、今度は小型のフライパンと食用油を其々10DPで交換。
玉子焼きを作った。
吸収してリストに入れる。
後700DP。
ダンジョンの外に出ると、干している草をひっくり返す。
今日は、干し魚を作る事にした。
先ず、リストにある全ての魚を一つずつ交換。
内臓を取って開いて、盆ザルに並べる。
鳥に取られないようスズメバチ達に見張りを命じて、さて……気が進まないけど、放置する訳にもいかないし、やるか!
昨日、スズメバチ達が殺した男二人の死体がある西方向へ、掘り進む。
二人の死体の間に出ると、掘った部分をダンジョン化し、先ず小男の方から穴に落として即吸収。
大男の方は、身体の下の土をちょっとずつ横から掘って、傾かせて落とした。
これでDPは、1,130となりました!
あれ? 眷族召喚リストが増えている。
キラーホーネットに、ローグオーガ・ローグゴブリン?
キラーホーネットは兎も角、後ろ二つはさっきの二人だよね? 召喚出来るの?!
うわ~。どうしよう……。後で、水海に相談しよう!
釣りをして夕方近くになると、西の空に雨雲が見え始めた。
今夜か明日は、降るかもしれない。
私は干し草と干し魚をダンジョンに入れて吸収し、眷族達を呼び戻した。
あ! 今日掘った通路の両端を埋めておこう。
「水海さんに質問と相談があります」
『うん。何?』
今日もコールを繋げてくれた水海に、私はそう切り出した。
「Lv1水魔法【散水】って、飲用出来る?」
『出来るけど、10DPの飲用水の方が美味しいよ』
「そっか。まあ、一応覚えておこうかな?」
100DPを消費して、【散水】を覚えた。
残り、1,180DP。
「後はね、昨日の二人を吸収したんだけど……」
私は、ローグオーガとローグゴブリンの事を説明した。
「召喚して大丈夫かな?」
『蘇生じゃないから、本人達は出て来ないよ』
「そうなんだ。良かった」
『仮に本人達だったとしても、眷族なんだから安全だよ』
「そうは言っても、気まずいって言うか」
殺した揚句使役するとか、どんな悪党だよ。
『まあ、そうかもね』
「そう言えばさ、イージーモードなら、入る度に構造が変わるダンジョンとか創れるんじゃない? 誰か創って無いの?」
『ローグライク系? それなら、遊子が創っているよ。朝八時から夕方四時まで入場出来て、五時には強制退去させられるダンジョン。五時以降に構造を変えるんだって。だから、入る度じゃ無くて一日毎だね』
なるほど。流石に、インスタントダンジョンは創れないのか。
『ポイント制で痛みが無く、死ぬ事も無い子供向けベリーイージー・アイテム持ち込みが出来て、強くなったのが無かった事にならないイージー・このダンジョンで入手したアイテムのみ持ち込みが出来るノーマル・アイテム持ち込みが出来ないハード・Lv1からスタートで、最下層に達するか夕方五時にならないと外に出られない、つまり、ピンチになってもアイテムで脱出出来ないベリーハードの五種類創る予定だって』
遊子も、名前は違うし・会っても居ないが、前世の友人だと分かる。
「遊子もドラゴエルフ?」
『うん。てゆーか、こっちのエリアのダンマスは、全員ドラゴエルフ。見た目幼児ばっかり。なのに、遊夜は色街を創っているよ。まあ、魔法で【変身】出来るけどねえ……』
「うわあ……」
遊夜も友人だった。色街創っているとか、ショック。
一体、何人の友人がダンジョンマスターになっているんだろう?
「迎撃エリアのモンスターは、サキュバスとか?」
『ううん。触手系』
触手系って何だろう?
『後、【聖剣使い】対策にインキュバスだってさ』
「聖剣使い?」
『え? 知らない? 【ヘルプ】に天敵だって載っていたんだけど』
「天敵?!」
まさか、そんなものが居るなんて!
『もう! コドクって、説明書読まないタイプでしょう!』
水海が可愛く怒る。
「ごめん」
『命に関わるんだからね! ……じゃあ、【ヘルプ】で確認してみて』
聖剣使い
聖剣を使う者。女性のみだが、聖剣は女性専用武器では無い。
聖剣の正式名称は、【ダンジョンキラー】。
魔力を消費して、ダンジョンの破壊不能部分を破壊出来るダンジョン産の武器。
必要DPは、100,000,000。
現在、産出するダンジョンは、ユティ神国に在る【女神製ダンジョン訓練所】のみ。
(【ヘルプ】より)
『其処、ユティ神国だからね』
「マジですか?!」
嘘だと言ってよ! 水海! ……マジ詰んでる。ガチで。
「あのさ、水海……。それ、知っててもどうしようもないんだけど!」
仕掛けとか全部壊されちゃうって事だよね!? 勝てるのイージーモードぐらいじゃ無い?! 寧ろ、イージーモードでも勝てないんじゃない?
「どうしろって言うの!?」
『ごめん。祈るしかないよね』
気まずい空気になったので、今夜の通信は終わりを告げた。
まさか、天敵が居て、しかも、現在地が敵地だなんてね。
どうか、奴等が来ませんように。
暫く、眠れない日々が続きそうだ。
◆所持DP◆
1,180P
◆覚えた魔法(現在Lv2)◆
Lv1:浄化・着火・散水
◆所持品◆
シャベル・懐中電灯・草刈り鎌
寝袋・マット・保温シート・ラグ
釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ
ミニ七輪・オガ炭・包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・食用油
食器セット・盆ザル・ボウル・ピッチャー(飲料水入り)
塩・醤油
カラーボックス・ハサミ
木の蓋(トイレ用)
ボロいマント(偽装用)・筏(偽装用)・干し草(偽装用)
猫用ベッド四つ(『たまご』と『にたまご』用)
◆眷族◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。
ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。
◆食料リスト◆
生魚(数種)・焼き魚(数種)・干し魚(数種)・スズメバチ(成虫)
コドク(成鳥)・コドクの卵(生)・コドクの卵(固茹で)・コドクの卵の卵焼き(醤油)