初めての殺人(蜂が)
途中、ダンジョンのイラストがあります。
2017.01.04 コドクが水分補給して居ない事に気付いたので、修正。
島の名前が違っていたので、説明文から削除。
◇ヒトリ島・2日目◇
翌日。
ノドが乾いたので飲料水を10DPと交換する事にした。
え? 容器が必要? 仕方ないな……。ピッチャーを10DPで交換する。
残り、150DP。
私は外に出ると、昨日から干している干し草をひっくり返してから、スズメバチ達に命じて鳥を仕留めて貰った。
その中に、こんな鳥が居た。
コドク
『地面を走る小さいもの』と言う意味。飛べない小型の鳥。鶏大。翼は退化している。
この島の固有種。
人間に対する警戒心が全く無く、肉が美味い為、乱獲された。一応足は速い。
吸収したのは最後の一匹だった。(眷族召喚リストより)
絶滅させちゃった! 眷族召喚出来るから、セーフ?
私は、早速、召喚する事にした。
因みに、現在のDPは……120増えて270である。
30DPでオスメス一匹ずつ交換したので、残りは210か。
召喚したコドク達に、名前を付ける事にする。
何が良いかな~?
メスの方は白っぽくて丸っこいから、たまご!
オスの方は茶色いから、にたまご!
「お前の名前は『たまご』、お前は『にたまご』だよ」
伝わっているのかいないのか、気に入っているのかいないのか、『たまご』と『にたまご』は黙々と虫を食べていた。
「来ちゃった」
それは、鳥を仕留めるのを止めさせ、魚を釣ろうとした時の事だった。
因みに、DPは、820増えて1,030である。
島に、何者かがやって来たのだ。
それをスズメバチ達の報告で知った私は、血の気が引いた。
どうしよう!? まだ焚き火跡の偽装もしていないし・罠も設置していないのに! 水海からコールが来るのは夜だし、どうしたら良いの?!
おおお、落ち着け! まだ危険人物だと決まった訳じゃない!
◇ヒトリ島・侵入者視点◇
「居ねえな」
西に見える陸地の村からやって来たオーガのコーゲは、目的の物が見当たらない為にそう呟いた。
この世界では、オーガも人種の一つである。角は無い。
オーガの特徴である高い背に、不摂生の証かでっぷりした体型をしている。
太れるほど村が豊かだと言う訳では無く、彼の家が金持ちと言う訳でも無い。
コーゲは強盗なのだ。
「筏があったし、先客が根こそぎ捕獲済みかもしれないっすね」
コーゲの呟きにそう答えたのは、相棒であるゴブリンのボンハンであった。
若ハゲなのか剃っているのか、頭部はツルンとしている。
先客から目的の物を奪う事を考え始めた二人の前に、二羽の鳥が現れた。
『たまご』と『にたまご』である。
「お。居るじゃねえか」
「相変わらず、捕まえるのが楽で良いっすね」
二人は目的の物を抱え上げた。
カチカチ
「ん? 何の音だ?」
二人は首を傾げたが、深く考えないの性格の彼等は、そのままその場を立ち去ろうとした。
「ギャア!」
「ヒイッ!」
突如激痛に襲われた二人は、熱い痛みに『たまご』達を手放し、のたうち回った。
◇ヒトリ島・コドク視点◇
ふ~……。何とかなった! ありがとう、スズメバチ!
私はお礼に、10DPでスズメバチの餌(虫)を交換して与えた。
残り1,020DP。
彼等が餌を巣に運んで行くのを尻目に、『たまご』と『にたまご』の無事を確認する。
何ともなかったので、一安心。
それにしても、これ、どうやって運ぼうか?
取り敢えず放置し、私はダンジョンコアをスズメバチ部屋より奥に設置する為に、地中を掘り進める事にした。
罠どうしようかな?
一応、罠は交換リストにあったのだが、一番安いので1,000DPだった。
鳥を皆殺しにする勢いで仕留めて貰えば、幾つか設置出来ると思うけど。でもなあ……。
数メートル通路を掘った所で、直径40センチぐらいの幅で真下に掘って行く。
私の身長よりちょっと深いぐらいまで掘ったら、底部の横を掘って行く。
そして、暫くしたら真上に掘り、置き場所を掘ってコアを移動した。
そして、スズメバチ部屋からの通路に戻ると、深く掘った部屋――と言うか通路?――に、虫等を大量に召喚した。
見た目の暴力その二。
こいつ等には、コア置き場の手前までは移動しても良いと言い、私はダンジョンの外に出た。
残り940DP。
「『たまご』ー。『にたまご』ー。戻っておいで~」
釣りをして夕方になったので、二羽を呼び戻し、最初に掘った部屋に入れる。
私は、焚き火跡を作る為に外で焚き火をし、その脇で七輪で魚を焼いた。
<水海さんから、コールです>
『こんばんは。今日はどんな感じだった?』
私は水海に、今日の出来事を話し、侵入者の死体をどうしたら良いか相談した。
『そこまで掘り進めてダンジョンにして、其処へ落としたら?』
「その手があったか!」
そうだよね! ダンジョンまで運べないなら、ダンジョンを広げれば良いんだよね!
『それにしても、コドクの名前って鳥から取ってたんだね』
「ね。考えてみれば、日本語から付けると決まっている訳じゃないもんね」
『うんうん。……ドクって言う鳥も居るのかな?』
「居るかもね」
居るとしたら、ダチョウぐらいの大きさかな?
『ねえ。良かったら、【たまご】ちゃんと【にたまご】ちゃん、見せて』
「良いよ。ちょっと待ってね」
私はダンジョンに入って、二羽を抱えて戻って来た。
『うわ! 可愛い! キーウィみたい!』
確かに、キーウィっぽい見た目をしている。
「キーウィなのかな? 【鑑定】してみてくれる?」
『うん。……えっと、【鑑定】でも【コドク】だね。見た目が似ているだけみたい。でも、キーウィ科とかキーウィ目である可能性は否定出来ないけどね』
水海の【鑑定】では、目・科・属等は判らないらしい。
『それにしても、昼間の侵入者達の目的が【たまご】ちゃん達なら、他にも同じ目的で来る人が居るかもね』
「そう言えば、乱獲されてたんだっけ。って、死体を吸収しちゃったら、怪しまれない?!」
良く考えれば、島に向かった事を知っている人達が捜しに来たりする可能性があるではないか!
『一回位なら大丈夫じゃない? そいつ等が乗って来た船を漂流させちゃえば、海に落ちて溺れたとか思ってくれるんじゃないかな?』
「そう上手く行くと良いけど。……今後はどうしたら良い?」
『数回に一回位は吸収して良いんじゃない? 後は死体を放置しておけば、死因はハチ毒なんだから怪しまれないと思うよ。ただ、誰も捜しに来なかったら、死体が腐って臭うんだけどね』
「それは嫌です!」
臭うのも嫌だし、腐乱死体も見たくない!
『じゃあ、ばれるの覚悟で吸収するしかないねえ』
「だよねえ……」
「そう言えば、水海はどんなダンジョンを創ったの?」
イージーモードだから、大分広いダンジョンだろうし、強いモンスターも沢山召喚してあるのだろう。罠もえげつない程に沢山あるんじゃないかな?
『イージーモードだから滞在だけでやっていけるしね。客寄せに水族館を創ったよ』
「水族館……」
『同じエリアの皆で相談して、テーマが被らないようにしたんだ。うちの水族館以外に、動物園とか植物園とか遊園地とか色々あるよ』
それって、ダンジョン?
「えっと……。モンスターは出るの?」
『水族館とかの方には出ないよ。そっちは非殺傷指定エリアにしている』
「非殺傷指定?」
『うん。指定したエリアでは、人もモンスターも何も殺傷出来なくなるの』
「へ~。良いね! でも、お高いんでしょう?」
『そうなんですよ。1立法メートルで10,000DPからとなっております』
つまり、1立法センチメートルとかは無理なのね。
って、水族館とその周辺全部非殺傷指定したって、初期DP幾らだったんだろう? 聞くのが怖い……。
『ダンジョンコアへと続く迎撃エリアは、地下三階から水中にしたよ。【水中呼吸】必須』
「其処には当然、水中で人間より素早く動ける水棲モンスターを配備しているんだよね?」
『勿論。普通に、先へ進むにつれて、ガチで殺しにかかるつくりにしたから。地下三階までは警告かな? 先に進むと、逆ウォータースライダーとかあるよ』
水が流れる滑り台を登るの?! 捕まる所とか無いんだろうな~。
『後、普通に滑り下りる罠だらけのウォータースライダーとかね』
罠だらけじゃ、普通に滑り下りると死ぬなあ。
友人の容赦の無さが怖い……。
でも、それぐらいやらないと、ダンジョン防衛は無理なのかな?
◆所持DP◆
990P
◆覚えた魔法(現在Lv2)◆
Lv1:浄化・着火
◆所持品◆
シャベル・懐中電灯・草刈り鎌
寝袋・マット
釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ
ミニ七輪・オガ炭・包丁・まな板・食器セット・カラーボックス・盆ザル・ボウル
塩・醤油・ピッチャー(飲料水入り)
木の蓋(トイレ用)
ボロいマント(偽装用)・筏(偽装用)
◆眷族◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
◆食料リスト◆
生魚(数種)・焼き魚(数種)・スズメバチ(成虫)・コドク(成鳥)