表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/191

イージーモードがベリーイージーだった件

◇ヒトリ島・1日目(続き)◇


 バケツ片手に島を歩き回った結果、幾つかの虫の死骸を手に入れた。

 その中には何と! スズメバチがいたのです! ヤバい!

 私はそれを見付けて拾うと、直ぐにダンジョンに戻った。

 もし、知らずに巣に近付いていたら、攻撃される所だった!



 吸収した虫は、無事、眷族召喚リストに追加された。

 虫は、10DPで一度に百匹召喚されるらしい。

 想像するだけで、怖い光景だ……。

 それでも、身を守る為には必要なので、スズメバチを召喚する。

 これで、400DP。


「取り敢えず、各自自由行動」


 そう命じると、スズメバチ達はダンジョンを出て行った。……制御から外れたりしないよね?



 幸いにもそんな事は無く、彼等は普通のスズメバチの行動を取っている様子だった。

 あ。そうだ!


「島に居る眷族以外のスズメバチを殺して来て」


 そう命じる。

 暫くして、彼等はスズメバチの死骸を持って帰って来た。

 見た目は同じなのに、ダンジョンマスターとしての能力か、それが眷族の死骸では無い事が判った。まあ、数匹は混じっているかも知れないけれど。


「島に人が来たら、見付からないように監視してね。それで、ダンジョンや私や貴方達に危害を加える様だったら、刺しちゃって」


 これで一安心。

 さあ、釣りをしましょうか! と、その前にトイレ!



 トイレに来たは良いものの、トイレットペーパーがあったら不自然だよね?

 じゃあ、葉っぱで拭く? でも、毒があったら嫌だし……。

 あ! 【浄化】で良いのか!


 用を足し、小舟と部屋の偽装の事を思い出した。

 その前に、木の蓋を10DPで交換してトイレに蓋をした。

 残り390DP。


 一番目の部屋に移動し、寝具代わりのボロいマントを10DPで交換。

 四つん這いで進む大きさの奥への通路の入り口。ここ、どうやって隠そうか?

 あ、そうだ。マントだけで寝ると身体痛いよね? いや、実際には寝ないけれど。干し草を敷こうかな?

 私は草刈り鎌を20DPで交換して、外の草を狩って干した。

 残り360DP。



 そして、釣り道具を持って西にある船着き場へ。

 (いかだ)を200DPで交換。船系はこれが一番安かった。

 残りは、160DP。いよいよヤバい!


 戦々恐々しながら釣り糸を垂れる。




『もしもし、こんばんは! どうだった?』


 夜、魚を焼いていると水海(すいみ)からコールが来た。


「スズメバチ、ゲットだぜ!」

『良かったね! 魚も釣れたんだ』

「うん! 10匹で40DPになったよ。……少ないよね」


 現在190DPである。


「それより、聞いてよ! 釣りから戻ったら、召喚したスズメバチ百匹が最初の部屋に集まってたんだよ!」

『うわ……』

「だから、別に部屋を造ってそっちに移って貰った」

『大変だったね。其処はダンジョンにした?』

「うん。ダンジョンの機能で換気出来るって聞いたから、通路殆ど埋めて虫ぐらいしか通れないようにしたよ。で、ダンジョンコアも其処に置いちゃった」


 コアを置いたので、通路を埋めた土は破壊可能――つまり、掘れる状態――だ。


『良いね! でも、毒が効かない人とか魔法使いとか来たら危険だから、コアはもっと奥に置いた方がいいんじゃないかな?』

「う……。それもそうだね」


 その場合、どうやってコアを守ったら良いんだろう?

 私? 私が()るの? 【浄化】と【着火】しか使えないのに?!


「守りはどうしたら良いかな?」

『う~ん? ……罠?』

「罠か……。落とし穴とか?」

『うん。まあ、色んな罠を設置しなよ』

「でも、DP……」

『魚釣り、頑張れ!』



『あ、そうだ。魚、干物を作っても良いんじゃないかな?』


 焼けた魚を食べていると、水海がそう言った。


「そうかもね。どうやって作るの?」

『えっと……。先ず、開きにして、水洗いして、水気を取る。次に、12%ぐらいの塩水に30分ぐらい漬ける。漬かったら、水に潜らせて表面の塩分を落とす。後は、ザル等に並べて風通しが良い場所で天日に干して……。あ。日が直角に当たるようにね。身の方と皮の方、7:3で日に当てるんだよ』


 水海は思い出そうとしているのか、時折右の方を見ながら教えてくれた。


「ありがとう。……ザルとボウルが必要か~」


 思い切って、盆ザルを10DP・ボウルも10DPで交換した。

 残り170DP。


『そう言えば、スズメバチに鳥を殺して貰えば肉が手に入るんじゃないかな?』

「その手があったか!」


 あれ? でも、それって、私が捌かなきゃいけないって事?


「捌ける気がしないので、無しで!」

『そう? そんなんで、人間殺して吸収するの、平気?』

「う……。それは……」


 ダンジョンマスターに転生した事で倫理感等が変わった可能性もあると思うけれど、虫が苦手だったりスズメバチを恐れたり、あんまり変わっていない気もする。


『侵入者がコアまで辿り着いたら、コドクが頑張らないといけないんだよ?』

「ソウデスネ……」


 勝てる気がしない……。


「じゃあ、武器や防具も交換しないと……」

『武器はシャベルで良いんじゃないかな?』

「もっと殺傷力が高い武器が良いです」

『必要DPも高いと思うよ』

「ですよね!」


 良い物は高い。当たり前だけど。安くて良い物なんて、イージーモードなら兎も角ハードモードには無いだろう。

 それでも一応、武器と防具を其々検索してみた。

 結果はどちらも該当無し。

 何とか……。何とか、良い罠を思い付かないと!



『で、偽装の方は?』


 水海は、罠を考えてくれるつもりはないようだ。自分で何とかしないと。


「船着き場に筏・最初の部屋にボロいマントを置いたよ。後は焚き火跡だけかな?」

『ふむ……。釣竿にオーバーテクノロジーは?』

「リール無しの竹製だよ。この国に竹があるかは分からないけれど」

『釣り糸は?』

「え? 何だろう? ナイロンとかではないみたいだけど……」

『見せて』


 私は、釣竿を水海に見えるように近付ける。


天蚕糸 (てんさんし)だね』

「【鑑定】を使ったの?! Lv3以上あるんだ?」


 レベルが上がっていると言う事は、ダンジョン内で人等を殺したのだろう。


『Lv1だよ。ドラゴエルフはエルフ種だから、魔法の才能が高いんだ』

「そうなんだ。良いな」

『エルフと言えば、この世界のゴブリンは、エルフ種の血が混ざっているんだって』

「え~? レイプとか?」


 私は、ゴブリンに対する偏見を口にした。


『どうなんだろうね? 昔の話だからなぁ。でも、その頃は、エルフも神と呼ばれるぐらい強かったみたいだから、無理なんじゃないかな?』

「今は?」

『今も、ゴブリンよりは確実に強いらしいよ』

「そうなんだ」

『まあ、そう言う訳だから、魔法が使えるって言っても、怪しまれる事は無いよ』

「良かった~! 怪しまれるなら、服とか汚さないと不自然だもんね」


 今検索したら、交換リストに服が無かったんだよ。【浄化】で綺麗に出来ないのは嫌過ぎる!



『ところで、ハードモードって滞在でDP入手可能なの?』

「えっと……」


 私はヘルプを検索して答えた。


「一日以上滞在してくれないと、手に入らないみたい」

『うわ……。ハードだね』

「イージーモードは?」

『えっとね……。毎秒』


 水海は、言い辛そうに口にした。


「秒?!」


 イージーにも程があるでしょう!?


『滞在DP入手にそんなに時間がかかるなら、殺して吸収した方が早いよね』

「でも、なるべく殺したくないんだよ……」

『じゃあ、閉じ込める? まあ、どっちにしろダンジョンだとばれそうだけどね』

「つまり、DP入手は、鳥や魚で何とかするしかないって事だね」

『そうなるね』

◆所持DP◆

 170P


◆覚えた魔法◆

 Lv1:浄化・着火


◆所持品◆

 シャベル・懐中電灯・草刈り鎌

 寝袋・マット

 釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ

 ミニ七輪・オガ炭・包丁・まな板・塩・醤油・食器セット・カラーボックス・盆ザル・ボウル

 木の蓋(トイレ用)

 ボロいマント(偽装用)・筏(偽装用)


◆眷族◆

 スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。


◆食料リスト◆

 生魚(数種)・焼き魚(数種)・スズメバチ(成虫)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ