ダンジョンだとばれないようにしよう
本日2度目の更新です。
2017.01.04 季節を春に変更。所持品にまな板を追加。
◇ヒトリ島・1日目(続き)◇
『じゃあ、必要なのは、寝具かな?』
「寝具……。ベッド置けるかな?」
私は、ダンジョンコアを設置した部屋を見て、そう呟いた。
『ベッドより寝袋の方が安いよ』
「寝袋か……。身動き出来無さそうだし……」
『マミー型の事? 春だし、封筒型で良いんじゃないかな?』
「封筒型なんてあるんだ~」
知らなかった。
寝袋を20DPで、マットを10DPで交換。
残り930DPか。
『後は……着替えは我慢して貰って~』
「え?! 女子なのに?!」
『DP少ないでしょう? それに、汚れは魔法の【浄化】で消せるから』
「ゴブリンって、魔法使えるっけ?」
『ゴブリン以前に、ダンジョンマスターだから、大丈夫。多分』
スキルリストのタブを開いてみると、Lv1魔法に【浄化】があった。
なので、100DPを消費して覚えた。
これで、830DP……。
穴掘りで汚れた身体と服を【浄化】すると、多少綺麗になった。
もう二回かけて完全に綺麗になる。レベルが上がったら、一回で綺麗になるのだろうか?
『食事も我慢して貰って~』
「死ぬよ?!」
『一日10DPで食べなくても大丈夫。食べるなら、水と食料で一食10DP以上に絶対になるから』
「でも……」
『あ、じゃあ、釣りしたら良いんじゃないかな? 余った魚はダンジョンで吸収すればDPになるし』
「そっか! 釣り!」
私は、早速、釣り道具を交換する。
釣竿20DP・餌10DP・バケツ10DP・タオル10DP・タモ40DP。……合計90DPも使ってしまった。
これで残りは、740DP。
『魚が手に入ったら、調理道具が必要だよね。火は魔法で点けた方がお得かな?』
「そうかもね」
スキルリストから、Lv1魔法【着火】を覚える。
100ポイント消費して、640DP。
『毒がある植物もあるから、【識別】も覚えた方が良いよ』
「ああ。夾竹桃とかね。どんな見た目なのか知らないけど」
毒かどうか判るなんて、魔法って便利~。
私は、Lv3魔法【識別】を覚えようとした。……Lv1なんだから、覚えられる訳が無い。
「ねえ、水海? レベル上げないと覚えられないんだけど」
『あ、そっか。じゃあ、七輪かな?』
「七輪か……。屋外使用だね」
『ダンジョンの機能に【換気】があるよ』
「え? じゃあ、屋内で大丈夫?」
『うん』
ミニ七輪50DP・オガ炭10DPを交換。
残りは、580DPか。
『あ、そうだ。焼き魚とかが、リストに無いなら、吸収しておいた方が良いよ』
「え? リストに無いとか有るの?」
『ハードモードだし、有り得そう』
確認してみると、確かに無かった。
「本当に無い……」
焼き魚だけでは無く、食べ物は全く無かった。あるのは、飲料水だけだった。ハードモードめ!
『寝袋とかは在って良かったね』
「全くだね」
無かったらと思うと、ゾッとする。
「後は、包丁とまな板かな?」
私は包丁を50DPで・まな板を20DPで交換した。
残り510DP。
『前にお父さんから聞いたんだけど、魚の内臓を取ってから洗う時、歯ブラシを使うと綺麗に洗えるんだって』
どうしよう?
「止めておく」
『そうだね。節約しないと。あ、【浄化】使えば良いかも! じゃあ、後は調味料だね』
「調味料か。塩と……。どうしよう? 塩だけで良いかな?』
『飽きると思うよ』
「やっぱり?」
塩10DP・醤油10DPで交換。
残りは490DP。うわ~! 半分切っちゃった~! 不安だよ~。
『お皿、居る?』
「……一応交換しておく」
食器セットを40DPと交換。
残り450DP。
『でも、食器棚必要だよね』
「もっと早く言って欲しかった!」
そしたら、交換しなかったのに!
『棚なら何でも良いんじゃない?』
「そうかな?」
確かに、汚れなきゃ良いか。
食器棚より安かった扉付きカラーボックスを30DPで交換。
残り420DP。
私は、寝袋の上に置いてある食器セットや包丁等をカラーボックスに仕舞った。
『それじゃあ、漸くダンジョンをどうするかについて、話し合おうか?』
「う、うん」
『コドクはダンジョンを奥に掘りながらね』
「あ、そうだね」
時間は有効に使わないと。
『取り敢えず、コドクは、無人島に勝手に住み付いた人間って設定ね』
この世界ではゴブリンは人種の一つなんだったね。
「捕まらないかな?」
『誰も管理していない島でしょう? 見逃して貰えるんじゃない?』
「だと良いけど」
『新しい部屋が出来たらコアとか全部そっちに移して、その部屋は偽装する』
「偽装?」
何故偽装するんだろう?
『勝手に住み付いた人が造った住処に、現代日本風のアレやコレや在ったらおかしいし、全く何も無くてもおかしいからね』
「なるほど」
『身綺麗なのは【浄化】で説明が付くから良いとして、寝床と食料』
「う……。またDPが減る……」
『仕方ないでしょう。あ、でも、新品同然だとか良い素材だとか不自然だから、其処もちゃんと考えないとね』
「あ、そっか」
因みに、掘った土は吸収しているけれど、別にDPになったりはしない。
やっぱり、生き物じゃないと駄目で、微生物とかは小さ過ぎて駄目なんだろう。
『後、穴の外に焚き火の跡を残しておかないとね』
「そこまでするんだ……」
『当たり前! 正体がばれるリスクは減らさないと!」
「そうでした……」
話相手がいる安心感で、どうも危機意識が欠けていたみたい。
『他に無いとおかしいのは……トイレと小舟だね。トイレは穴を掘れば良いとして、小舟はDPで交換しないとね』
「ああ! もう!」
『トイレは外に掘った方が良いかな? あ、でも、雨の日は濡れちゃうね。やっぱり、中で』
「え? 中に?」
『先に掘っておいた方が良いよ。したくなったら困るでしょう?』
「困る!」
私は慌てて入口の方に横穴を掘って、トイレ用の小部屋を作った。
『其処はダンジョンにしちゃ駄目だよ。臭いが換気されて無くなっちゃうからね』
「なるほど。不自然だね」
『因みに、10DPで一日用を足さなくても平気になるよ。でも、人じゃないとばれると困るから……解るよね?』
何故か、変態プレイを強要されている気分!
トイレ部屋とトイレ穴を造り終えた私は、奥の部屋を掘りに戻った。
『こうしてダンジョン感を隠している訳だけど、ダンジョンだとばれたり・危害を加えられたりするかもしれないから、身を守る手段が必要だね』
「冒険者だけじゃ無く、犯罪者が来るかもしれないって事?」
『そう。今召喚出来るモンスターは?』
私は手を止め、メニューの眷族召喚タブを選択した。
「えっと……無い?」
リストは、空欄ばかりだった。
『無いって、一番安いのが500DP以上って事?』
「ううん。何も無い。……詰んだ?」
私は恐る恐る、そう思うか尋ねてみた。
『待って! その島、生き物は何が居るの?』
「え? 海の生物を除けば、鳥か虫かな?」
『そう。……スズメバチがいれば良いんだけどね』
「居たら、私も危険じゃない?!」
『まあ、そうなんだけど。じゃあ、猛禽類は?』
「居るかな~?」
『後で探してみて。じゃあ、夜にまた』
コールが切られてしまったので、黙々と掘り進む。
休みつつも、最初の部屋と同じ位の大きさの部屋を掘り上げた。
ダンジョン化して、残り410DP。
次にするのは……。生き物探しかな? 死骸があったら拾ってダンジョンで吸収しよう。塵も積もれば山となる! きっと、いつかDPになる筈!
◆所持DP◆
410P
◆覚えた魔法◆
Lv1:浄化・着火
◆所持品◆
シャベル・懐中電灯
寝袋・マット
釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ
ミニ七輪・オガ炭・包丁・まな板・塩・醤油・食器セット・カラーボックス