ダンジョンマスターに転生したら、私だけハードモードな件
2018.03.31 「生前」を「前世」に訂正。
◇???・1日目◇
<ダンジョンコアが仮起動中です。数日以内にダンジョンを作成して本起動させないと、貴女は命を落とすでしょう>
視界が変わり、潮の匂いを感じた直後、そんなアナウンスが聞こえた。
<尚、このエリアは【ハードモード】です>
酷い!
生前何か悪い事をした覚えは無いんだけど……。
でも、生前の自分の名前さえ忘れている状態で、覚えは無いとか言っても自信は持てないよね。
因みに、今の名前は、【鹿毛コドク】である。
何なの、コドクって? 孤独? もうちょっと、普通の名前を付けて貰いたかった。
取り敢えず、何処に村が在るかとか確認した方が良いよね?
地図は無いのだろうか?
「メニュー・オープン」
メニューをオープンすると、目の前の空中がコンピュータ画面であるかのようにウインドウが開いた。
ヘルプを見ようと思ったが、マップと言うタブが目に入ったので其処を選択する。
表示された地図は、島だった。名前は、【ヒトリ島】。
独り? だから、私の名前、孤独なの?!
それはそうと、この地図、私の現在地は表示されているのに、村等の位置は表示されていない。
行った事が無いと表示されないのだろうか?
なので私は、島を探索しようと、先ず東へと向かった。
五分位で海岸に出た。
どうやら、私が思ったより随分小さい島の様だ。
何しろ、私が先程居たのは島の中心部だったのだから。
その後、島の外周を回ってみると、十五分ぐらいで一周出来た。
案の定、村は存在しなかった。
つまり、この島は無人島だったのだ。
「詰んだ」
私は遠い目をして呟いた。
暫くしてから、何か手は無いかとヘルプを確認する。
先ず、考えたのは、イージーモードの人からDPを借りられないかという事。
しかし、連絡をとる手段『コール』は、DPを消費するのだそうだ。エリア外なら更に。
なので、それ以外の方法を考えていると、アナウンスが入った。
<水海さんから、コールです>
水海と言う名に聞き覚えは無い。
でも、判った。前世の友人だと。
コールタブを開くと、モニターに幼女が映し出された。
髪も目も赤紫色で、肌は白く、頭に二本の小さな角が生えている
『ハードモードみたいだけど、大丈夫?』
「大丈夫じゃないから、コールしてくれてありがとう~! 切らないでね!」
ナイスタイミング!
あ~。もう、泣きそう。色んな意味で。
ハードモードだし、種族はダメだし、ピンチに手が差し伸べられそうだし、友人が幼児になってるし。
『あ、うん』
水海はちょっと引いた様子だ。
私の種族はゴブリンだから、見た目が悪いのだろう。
「早速ですが! DP貸してください!」
相手はDPが多いけれど、それに甘えて話を伸ばすのは良くないだろう。
私は早速用件を口にした。
それに対して、水海は申し訳なさそうな顔をしてこう言った。
『ごめんね。エリアが違うと貸せないんだって』
撃沈!
『もしも~し。大丈夫? 相談に乗るなら出来るからね?』
座り込んで悄然としていた私は、水海の声に浮上した。
「良いの? DP大丈夫?」
『大丈夫だよ。イージーモードだから』
「良いなあ! 羨ましい!」
本当、何でイージーとかハードとかあるんだろう? 同じ条件にしてよ!
『ところで、コドクの種族って何?』
「え? 見て判らない? ゴブリンだよ」
服はちゃんとした物を着ているし、髪も普通に生えているみたいだけど。
『え? そうなんだ。じゃあ、ヒト科だね』
「え? ゴブリンが?」
『うん。この世界では、ゴブリンもオークもオーガも人種の一つなんだって』
「コーカソイドとかネグロイドとかの分類と同じって事?」
『それとは違うけど……。ホモ・サピエンス・なんとか、みたいな』
そうなんだ。亜人とかモンスターとかじゃないんだ。
「水海は?」
『私? 私はドラゴエルフ。竜人ならぬ、竜エルフ。エルフ種に分類される亜人だね』
「強そう」
『強いよ』
イージーモードは種族さえも恵まれているのね。羨ましい!
「そんな事より、DP、1,000しか無いんだよ!? これで、ダンジョンを創っても、直ぐ壊される未来しか浮かばない!」
『でも、無人島なんでしょう?』
「船着き場があったし、西の方に陸地も見えるんだよ。街も見えるよ」
『うわ~。それは、早急に何とかしないと』
「そうなんだよ!」
出来たての壊し易いダンジョンなんて、見付かり次第壊されてしまう!
「どうしたら良いかな~?!」
『そうだね~。先ず……野宿したい?』
「したくないです!」
そうだよ! 早くダンジョンを創らないと、夜になっちゃう!
『ん~。先ずね~。ダンジョンだとばれないようにした方が良いと思う』
「ばれないように?」
『そう。だから……手掘りにしよう』
「酷い!」
『そうは言っても、掘ってからダンジョンにした方がDPの節約になるし、手掘り感を消さずにおけば、一目でダンジョンとは見抜けないからね。掘るのが嫌なら、家を造って、それをダンジョンにする?』
「家……。どうやって?!」
造った事なんて、無いんですけど!
『どっちにしろ、早く造らないと、雨降ったらどうするの?』
それもあったか!
「じゃあ、取り敢えず、島の中央に戻るね!」
「家を手作りするのは無理だから、掘る事にするよ」
『そう』
そんな事を話しながら中央に戻った。
そして、メニューから、交換タブを選択して、シャベルで絞り込み検索。
10DPでシャベルを手に入れた。
それと、明かりも必要なので、手回し充電出来る懐中電灯を20DPで交換した。
残り、970DP。
『じゃあ、三十分後にまた繋ぐね』
三十分後。
「疲れるんだけど!」
『それは、仕方ないよ』
取り敢えず、大して掘れなかった穴をダンジョン化し、ダンジョンコアを本起動させた。
これで、一先ずは安心。
DPの残量は960である。
「後、必要なのは……」
『雨、入って来ないようにした?』
「入っては来るけど、この部屋部分は高くしたから、大量に入って来ない限り大丈夫」
斜め下に掘り進め、途中で斜め上に掘って小部屋を造ったのだ。
『そっか。なら、大量に降らない限り大丈夫だね』
「……そうだね」
私は、ゲリラ豪雨を思い出した。大丈夫かな?
ストックは有りません。
◆所持DP◆
960P
◆所持品◆
シャベル・懐中電灯