また来たよ。ウヘァ
◇ヒトリ島・7日目◇
朝である。
さて、今日はダンジョンを増築しようか。
私の部屋の北側にあるトイレから、北に向かって掘り進む。
ダンジョンコア置き場の奥に、部屋を造るのだ。
此処は、これまでと違って結構大きくする。
何故かと言うと、キラーホーネット部屋にする為。
キラーホーネットを囮にして、スズメバチが死角から刺す作戦だ。
聖剣使いに通用するかは分からない。
それでも、やれるだけやっておこう!
う~ん。もっと天井を高くしたいのだが、これ以上はシャベルが届かないし……。脚立でも出す?
60DPか……。
止めておこう。これで良いや。
ダンジョンコア置き場と繋げて、トイレの方の通路は埋めた。
部屋を広くした所為か、ダンジョン化のDPは20だった。
これで、残りは140DP。
後は、夕方まで何時もの釣りとスズメバチによる鳥狩り。
危険と学習したのか、陸から島に飛んで来る鳥は殆どいなくなってしまっている。
所持DPは、260となった。
夜。
何時ものように水海からコールが来た。
「粟って、どうやって食べたら良いのかな?」
『前日から水に浸けて、何回か水を交換して灰汁抜きをする。1.5倍ぐらいの水と塩を一摘まみ入れ、土鍋でじっくり煮る。よく噛んで食べてね』
水海は、横をチラ見しながら教えてくれた。
「ありがとう」
水海との通話を終え、早速、粟を水に漬ける事にした。
10DPで交換し、ボウルに入れて、【散水】で水を入れた。
その後、寝るまでに何度か水を交換した。
◇ヒトリ島・8日目◇
朝です。
ダンジョンマスターになってから、一週間が経ったんだなあ……。だよね?
では、粟を煮るとしますかね。
10DPで一人用の土鍋を交換し、粟と水と塩を入れて七輪に乗せた。
炊き上がった粟を茶碗に盛り、箸で口に運ぶ。
良く噛んで食べると、ほんのり甘い。
でも、米の方が好きだな。
残りは吸収して食料リストに載せた。
<一週間生存おめでとうございます。ハードモードの方だけに、特別にリストに好きなものを一つ追加します。何が良いですか?>
ジャガイモを20DPで交換して茹でていると、そんなアナウンスが入って入力ウインドウが開いた。
食料にしようか、眷族にしようか?
<有効期限は日付が変わるまでです。ウインドウは閉じないでください>
閉じちゃうとおしまいなのね。
日付が変わるまで大丈夫なら、水海に相談してからにしよう。
そして、夜。
『眷族が良いと思う。だって、増やし辛いでしょう?』
「確かに。でも、何が良いかな?」
『そうだね。あんまり強いモンスターにしても、召喚DP高いし、毒がある虫にしたら?』
「ああ。召喚DPの問題があったか。でも、毒虫って言っても、何を召喚すれば良いのかな?」
蜘蛛?
『ちょっと、待って。天地にコールして貰うから』
<天地さんから、コールです>
モニターが二つになり、髪と目の色が紫色の幼児が映し出された。
彼は、前世で水海の双子の兄だった人だ。
『やほー』
「久しぶり。まさか、天地もダンジョンマスターになっているとはね」
『クラスメート全員なってるよ』
「マジか」
天地のクラスが全員と言う事は、まさか、うちのクラスも全員なのでは?
『で、毒がある生き物だよな?』
「うん」
『ベネズエラヤママユガの幼虫なんてどうだ?』
「どうだと言われても、どんな毒?」
『出血毒。刺されると長時間激痛に苦しみ、全身に毒が回ると臓器不全で助からない』
「怖っ!」
でも、長時間か……。
「即効性が良いな」
『オオスズメバチ。毒を散布して来るから、目に入ったら失明する事も』
「スズメバチは、もうリストにあるんだ」
『そう。じゃあ、パラポネラって言う蟻。刺されたらトップクラスの激痛が長時間続く』
「良く考えたら、激痛が続くって、戦い所じゃないね」
『そうだな』
私は、蛾の幼虫と蟻とどちらが良いか考えて、蟻の方が素早い気がするから良いかなと思った。
「蟻の方にする。何て名前だっけ?」
『パラポネラ』
パラポネラと入力する。
<眷族召喚リストに、パラポネラを追加しました>
「追加出来たよ。天地、ありがとう」
『どう致しまして』
天地との通話が切れる。
「もしかして、天地の迎撃用ダンジョンは、毒虫だらけなの?」
『ドラゴンだらけだよ』
ドラゴン?!
『一応、毒がある生き物も使っているけど、メインはドラゴンだね』
どれだけDP使ったの?! って言うか、あったの?!
「でも、ドラゴンでも聖剣使いは止められないんじゃ……」
『そうかもね。そこで毒虫です』
「でも、解毒魔法もあるんでしょう?」
『あるね。でも、聖剣使いに使える人が居るかは分からない』
結局、実際に戦ってみないと勝てるかどうか判らないよね。
『で、DPは幾らになったの?』
「240」
『増えないね』
「釣りで増やすしかないからね」
ダンジョンに誰かくればね~。聖剣使い以外で。
◇ヒトリ島・9日目◇
先日の男その1がやって来た。
「何か御用ですか?」
「ええ。入口に扉を付けて差し上げようかと思いましてね」
「済みませんが、空気穴も兼ねているので結構です」
「そうでしたか。それは、余計なお世話でしたね」
男は笑顔を絶やさずにいる。
「なんでしたら、家を作りましょうか?」
「どうして、そこまで?」
「命の恩人だと思っていますので」
「私は声をかけただけですよ」
「ははは。ご謙遜を」
男は私の言葉を信じていない様子で、船から材料を降ろし、強引に家を建てようとする。
「いや。あの、本当に結構です!」
「遠慮なさらずに!」
何かスキルでも持っているのか、男はあっと言う間に小屋を建ててしまった。
「ささ! 荷物を運び出してください!」
こいつ、ダンジョンの入り口を埋めるつもりか?
この世界のダンジョンは、入り口を扉で塞ぐのは良くても埋めるのは出来ないらしい。
しまったな。西の通路を塞いでおかなかったら、こっちの入り口は塞げたのに。
あ! 荷物運び出す前に、開けてくれば良いのか!
私は、ダンジョンに入ると、Lv2魔法【土掘り】を150DPで覚えた。
これで、DPの残りは90Pになってしまった。
西の通路は出入り口しか埋めていないので、直ぐに掘り出す事が出来た。
消費魔力が多かったからか、凄い疲労感を感じる。
そして、私は、最初の部屋のアイテムを運び出した。
「これで全部ですか?」
「ええ」
「では、埋めてしまいましょう」
入口が埋まると、男は意外そうな顔をした。
「ありがとうございました」
「え? ああ、はい。お礼が出来て良かったですよ」
男は帰ろうとして、私を振り返った。
「ああ。そうです。自己紹介がまだでしたね。私は、ファンと申します」
本名なのだろうか?
「私は……名前を捨てましたので、ヒトリとでも呼んでください」
「親から貰った名前を捨てるのは、良くないですよ」
「親戚に見付かりたくないんです」
私の演技、不自然じゃないと良いんだけど。
まあ、【鑑定】でばれていたら意味の無い行為だけれど。
「……そうですか。では、そのように。また来ます」
ファンは、変わらぬ笑顔で去って行った。
もう来るな! でも、聖剣使いが来るよりはお前が来い。
◆所持DP◆
90P
◆覚えた魔法(現在Lv2)◆
Lv1:浄化・着火・散水
Lv2:土掘り
◆所持品◆
懐中電灯・筏(偽装用)・木の蓋(トイレ用)
【小屋】
シャベル・草刈り鎌・釣竿・餌・バケツ・タオル・タモ・盆ザル
ボロいマント・干し草・オイルランプ(植物油入り)
木の板・大鍋・中華鍋・布・箸・コップ・皿・まな板・お玉
【ペット部屋】
猫用ベッド四つ・餌箱
【コドクの部屋】
寝袋・マット・保温シート・ラグ
ミニ七輪・オガ炭・包丁・まな板・小型の鍋・小型のフライパン・お玉・土鍋
食器セット・食器セット(箸・皿一枚・コップ抜き)・ボウル
塩・醤油・ピッチャー(飲料水入り)・食用油・バター
カラーボックス・ハサミ
◆眷族◆
スズメバチ(群):眷族になった事で毒がパワーアップしている。
パラポネラ(群):眷族になった事で、毒がパワーアップしている。
キラーホーネット:スズメバチ型モンスター。幼児大。
コドク:眷族になった事で、メスは毎日卵を産むようになった。
ローグゴブリン:モンスター化したゴブリン人。
ローグオーガ:モンスター化したオーガ人。
◆食料リスト◆
生魚(数種)・焼き魚(数種)・干し魚(数種)・スズメバチ(成虫)
コドク(成鳥)・コドクの卵(生)・コドクの卵(固茹で)・コドクの卵の卵焼き(醤油)
蕪(生)・じゃが芋(生)・にんにく(生)・粟(生)
蕪(茹で)・じゃが芋(茹で)・粟(煮た)




