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歩とその周りの方々のお話

見つけた、俺の。

作者: 青木ユイ

やっと投稿できます。

歩ちゃんを取り巻く物語まだありました。一翔目線です。

よろしくお願いします(*^^*)

 四年二組の、ざわついた教室。昼休み。

 俺はその中の一人。名前は、叶田(かなだ)一翔(かずと)。イニシャルはK.K。クラスの中では、たぶん別に目立ってるわけでもなくて目立ってないわけでもない、普通の生徒だと思う。

 そんな俺には、最近、気になる人ができた。


「ねー見てよ志結(しゆ)ちゃん」

「んー? なになにー?」


 俺は、前の席に座る幼馴染の小山(こやま)(あゆむ)と話しながら、ちらちら遠くの方にいる女子を見る。

 高田(たかだ)志結。おとなしそうで、かわいい。きっと、俺は高田さんのことが好きなんだろうなあ、と思っている。うわ、なんか恥ずかしい。


「一翔?」

「え、あっ、なんもない」


 歩が心配そうに俺の顔を覗きこんでいる。慌てて首を振ると、彼女はさらに訝しむようにじっと見つめてきた。


「なんか隠してるでしょ」

「隠してねーし」


 顔をそらすと、頭をぐしゃぐしゃかきまわされた。俺は歩を見上げ、睨む。


「やめろよ」

「えへへ、ごめんごめん」


 歩は小さい頃からの幼馴染。だから俺は、たぶんこいつのことをよく知っていると思う。

 それと、俺が高田さんを見る限り、彼女は歩と気が合う気がする。人見知りしないで、いろんな人と話せるところが似てるし、話すことが得意で、趣味みたいにしてるところも似てる。

 だから、きっと気が合うと思うんだよなあ。あんまり話したことないらしいけど……。


「なに見てるの? 一翔」

「……別に」


 歩、バカにしないで聞いてくれるかな。俺、恋したんだよ。見つけたんだ、俺の好きな人。

 でも、やっぱりまだ言わないでおこうかな。ちょっと恥ずかしいし。



 ある日の放課後。俺は高田さんを呼び出して、告白しようと考えた。ずっとこうやって見ているだけは、嫌だったから。

 教室で、二人。俺はおそるおそる口を開いた。


「……俺、高田さんのことが好き」


 高田さんが目を見開く。俺は少しうつむいて、言った。


「付き合ってください!」


 たぶん顔赤いだろうな、俺。どうしよう、なんかめちゃくちゃ恥ずかしい。

 ちらっと高田さんの反応を見る。彼女は、ちょっと頬を赤くして、はにかんだ。


「……はい」


 小学四年生、叶田一翔。初めての彼女ができました。



「歩! 俺、彼女できた!」


 一番最初に報告したのは、やっぱり歩。歩なら、祝福してくれるような気がしたから。

 でも、歩は少し不満そうで。話してみたら、と言ったけど、ふうんと適当な返事をされた。嫌なのかもしれない。

 理由は分からなかったけど、歩が高田さんのことを見ながら「腹黒そう」とつぶやいていたのが聞こえた。だから、たぶん歩は高田さんを良く思っていないと思う。

 いい子、なんだけどなあ。女子ってわからない。俺が男子だから、仕方ないかもしれないんだけど。



 体育の時間。ドッヂボールだというので楽しみにしていると、チームが高田さんと一緒だった。男女混合らしい。

 さっそく始まって、ボールがコートを飛び交う。そんな中、俺は高田さんに耳打ちした。


(あいつ)にさ、今度話しかけてやってくれない?」


 理由は、一応あった。歩は、高田さんをあまり好きじゃない。高田さんもたぶん、苦手っぽく思ってる。でも、二人とも俺の大事な人。

 やっぱ、仲良くなってほしいなあと思った。女子のことはよく分からないけど。

 俺から見たら、二人は気が合うと思う。だから、ああやって避けあっているのがもったいないような気がした。

 勝手なのかもしれないけど、歩にも知ってほしい。高田さんのこと。高田さんにも知ってほしい。歩のこと。うーん……やっぱ勝手なのかな。

 それに、もう一つ理由があるんだけど……。


「今度、話しかけてみるね」


 高田さんは笑顔でそう言ったけど、目は笑っていなかった。きっと、だめなんだろうなあ。そう、思っていた。

 しばらくして、女子の悲鳴のようなものが聞こえてきた。



 体育のあとの給食。耳に誰かが投げたボールがぶつかった歩は、保健室にいるらしく教室にはいなかった。

 ボールが当たった時泣いてたみたいだったから心配だったけど、昼休みには普通に戻ってきた。そんなにけがもひどくなかったらしい。よかった。

 帰ってきてからちょっと元気がなかったから話したりしたけど、歩が怒ったように「……高田さん見てるから、もう話すのやめよう」と言うから、謝って話すのをやめた。やっぱ、なんか、歩は高田さんのことをよく思っていないみたいだ……。

 だめなのかな。二人、仲良くなれると思ったんだけどなあ。

 そう、思っていたら。


「小山さん」

「……高田さん?」


 高田さんは、歩に話しかけた。俺は心の中で、二人に頑張れってエールを送る。

 頑張れ。仲良くなれるように。

 だって高田さん、欲しいものは友だちって書いてたから。付き合ってすぐに交換したプロフに。おせっかいって、もしかしたら言われるかもしれないけど。


「今度、一緒に遊ばない?」


 高田さんがそう言う。俺は彼女を見上げ笑った。

 歩は、少し迷ってから頷く。


「いいよ。遊ぼう」


 歩が笑った。その笑顔は、今まで俺が見た中で一番綺麗な笑顔だった。

読んでくださってありがとうございましたm(_ _)m

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