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コトノハ美術館  作者: 百里芳
常設展示:「二重ガラスの向こう側のフロア」
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25/25

コトノハ美術館

ことば は わたし

ことば は あなた


そらのげんごで つばさをやはし

うみのげんごで みずにいきる


わたし も あなた も

ここにはいない


わたし と あなた が 紡ぐ

その関係の網の上で


私も貴方も、ここにいる


言葉は私

言葉は貴方



館長より:

当館を最期までお楽しみいただき、ありがとうございます。


分かりきったことでしょうが、コトノハ美術館はこの世に実在しません。

インターネット上に投げ込まれた、わずかな文字列にすぎません。


しかし、同時にコトノハ美術館はこの世に存在します。

「コトノハ美術館? 訳が分からなかったな」

「コトノハ美術館! なかなか興味深かったね」

「コトノハ美術館……。面白くなかった」

「コトノハ美術館、感銘を受けました!」

貴方が心の中で呟いた瞬間、コトノハ美術館はこの世に生を受けます。


貴方が、

「ようこそ」と声をかけられるたび、客人として迎え入れられ、

「あいしてる」と囁かれるたび、あの人にとっての恋人となり、

「わたし」と自分に問いかけるたび、友人のことを思い出し、

「あなた」と呼ばれるたび、自分自身として生を受けるように。

貴方はコトノハを投げかけられたその瞬間に生を受けるように。


最期に、この言葉をどうぞ。

ミュージアムショップで、販売しておりますので、是非買って帰ってください。


それでは「さようなら」。



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