企画展示:「青くて小恥ずかしくなる」展――学芸員による挨拶
担当キュレーターより
今からほんの10年ほど前までは、携帯電話なんてものはあまり普及しておりませんでした。
彼女の家に電話をかける時も、あらかじめ学校で
「夜8時にかけるから、電話の前で待ってて」
なんて約束する必要がありました。
もし、こういった手間を惜しんでしまうと、
彼女の家のお父さんなんかが電話に出てしまって、
「わ、ワタクシ●●さんの友人の、××ですが……」
なんて言うことをしどろもどろになりながら告げる、という大変な事になってしまうのです。
失礼。
今の人にはなかなか分かり辛いお話しでしたね。
当企画展示は、青臭くてみっともなくて、でもなぜか根拠の無い自信ばっかり持っていた(そのくせ"自身"は無かった)、
あの日々の事を思い出しながら描いた展覧会です。
読みながら、「なんでぇ、この下手くそめ」となるのは、きっと詠み手の技量の低さだけが原因では無いかも知れません。
甘く切なく、思い出したくないけど思い出したい思い出が、あなたを内側から蝕むからかもしれません。
過ぎ去ってしまった人は、過ぎ去った日々を思い出しながら、
今まさにの人は、今まさにの事と比較しながら、
これからの人は、これからの事に思いを馳せながら、
心穏やかに楽しんでもらえればと思います。