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常設展示:「二重ガラスの向こう側のフロア」
担当キュレーターより
赤を赤と認識できるのは、
赤が赤と名付けられているからだそうです。
別に謎かけじゃあないですよ。
郵便ポストが、信号機が、流れる血が、あの子のランドセルが、
あれが赤だって教えられるから、
あれを赤だって呼ぶことが出来るんです。
255, 0, 0
と
254, 0, 0
厳密に言えば違う色ですが、私たちはきっとこれをどちらも赤と呼びます。
だってこれは、郵便ポストの色だから。たとえちょっぴり違っていたってね。
私たちが世界を見る時、
それは決してありのままの姿ではありません。
ありのままの世界は一枚のガラスに阻まれて、
いつだって、言葉という記号に置き換えられてしまいます。
言葉で切り分けた、「私」の外側の世界、
「二重ガラスの向こう側のフロア」をお楽しみください。
――え? なんで二重ガラス、かって?
そりゃ、私がメガネをかけているからですよ。ただそれだけです。