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明日以降の美術館
ぼくは耳を切り落としながら
自分を憎む呪詛をそこに託して
みえない目で空をみる
ひかりよ
ぼくが狂気に沈むことができたのも
おまえのおかげだ
カンバスを信仰と病魔で固めながら
蛾のように飛びまわれたのは
おまえのおかげだ
ひまわりのような
枯れた太陽にやかれながら
たましいは
従順な兵士に守られた君主のように
水晶の城に幽閉される
ああ、わらえ
切り落とした耳を君にたくそう
私の濁っためをみて、わらえ
硝子越しにではなく
黄色い部屋のしんのやすらぎのもとで
学芸員より:
お金持ちになりたいとか、有名人になりたいとか、まあ俗っぽいことを考えることもあるんですが、
死んだあとに有名になった場合、嬉しいのか嬉しくないのか――感じる自分自身も居なくなっていますが――どう感じるんでしょうかね。
そして有名になったのは、一体「だれ」なんでしょうかね。皆の心の中に居るのは誰なんだろう。