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西の街
馬車がカタコトカタコトと音を立てて進む。
屋敷を出て既に2日が過ぎている。
宛てという宛ては無く、ひたすらに西へ進む2人。
馬の手綱を握るクレマチスの後ろでナツは寝息をたてていた。
そう、随分とのんびりとした旅になっている。
ナツは最初こそ急かしていたものの時が経つにつれて欠伸をし、うたた寝をし、今に至る。
そもそも“馬車”というのはどうしてもそうなってしまうのだ。
“のんびり”と進んでいくと大きな街が遠くに見えた。
この2日間で国を出て初めての街である。
「お嬢様、お嬢様…街ですよ。」
クレマチスの声に起こされたナツは大きな欠伸をして身体を起こす。