表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

めいみの短編集シリーズ

ケンカ友達

作者: 本堂 迷美

意外とお気に入りです。

「鬱陶しいぞ、お前。俺の視界から消えろや!」



「少し静かにしたらどうです?できなければ貴方こそ僕の前から消えて下さい」



「ふざけんな!んなことしたら仕事になんねぇだろぅがよっ」



「その言葉、ソックリそのままお返ししますよ」



「この冷血×××(ピー)野郎、てめぇなんざ大嫌いだっ」



「奇遇です。それすらも嫌ですけれど、僕も同意見ですね」



「あ~、マジで殺してぇ。神様、今ここでこの鬼畜野郎が側溝に足を突っ込んでコンクリに頭をぶつけて死んだら、俺、真人間になるわ」



「そのどちらも可能性は無いですね。貴方こそ神様を冒涜した罪で自らコンクリに頭をぶつけてみなさい。少しはまともになれるかもしれませんよ?」



ワックスで流し、まるでライオンのような髪をしたガラの悪い男が、銀縁のスラリとした男に噛みつく。



「またやってる。ホントに仲が悪いよなぁ、あの二人」



二人の補佐についてきた男は、深いため息を吐いた。

これで何度目だろうか。



「お二人とも、仕事、仕事っ!」



こうして仲裁に入ることも。















70年後―――。




「なんでわしのお気に入りの場所にお前がいるんじゃ!」



「ここは皆の縁側ですじゃ。おぬしの好きにさせてたまるかの」



ぽかぽかの日差しが差し込む縁側に、おでこのきわまでハゲあがった頭の後頭部にライオンの名残がある老人と、バーコード頭に銀縁の眼鏡をかけた老人が座っている。



「まぐまぐ…羊羹は美味じゃな」



「わしがヨーコさんからもらったお菓子を勝手に食うな!眼鏡ジジィ」



「はぁ?耳が遠くて良く聞こえないのぉ」



「ボケジジィ、わしの可愛いミケまで手なずけおって!何十年経っても気に食わんっ」



「それは嬉しい限りじゃ。おぬしが好かんのは変わらんからのぅ」



お互いに口が渇いたのか、縁側に置いてあるそれぞれの湯呑みに口をつける。


ずずず、と、縁側に二人の渋茶をすする音が優しく響いた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ