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ミレニアムの申し子たち

作者: 浅井秋

 新しい千年が始まろうとしていた。

 テレビのブラウン管の中では、最近人気のタレントが興奮したように叫んでいた。

「いよいよ、新しい千年の始まりです」

 テレビから響きわたる大歓声。

 二千年を迎える世界各地の風景が映し出された。

 バチカンの荘厳なミサ。ベニスのクラシックコンサート。ニューヨークで打ち上げられた盛大な花火。清水寺の除夜の鐘…。いずれの場所も大勢の人でにぎあっていた。

 最後に病院が映し出された。

 看護師さんが産声をあげたばかりの赤ちゃんを抱いていた。

「この子は二千年初めて生まれた。いうなればミレニアムベイビーです…。きっとこの子には輝ける未来が待ってるでしょう」

 となりにいた若い女性のアナウンサーが、感動したようにいった。

 リビングルームでくつろぎながらテレビをみていた若い妻が夫に向かって言った。

「ねえ、そろそろ私たちも子供ほしいね」

「そうだなぁ。ミレミアムベイビーか。悪くないな」

 夫は妻を抱き寄せ<熱烈なキスをした。

 このような考えの夫婦が世界中にあふれていた。

 

 十五年後。

 塾ではどの子も真剣な表情で授業に聴きいり、メモをとっている。

「ねぇ、志望校きめた?」

「いや、どこも競争率高くてね…」

「親たちだって、ちょっと考えてみればわかった筈なのに…」

「二千年に子供つくろうとすれば、どうなるかってくらい…」

 かつてのミレニアムベイビーが大きくため息をついた。


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