恐ろしきレク企画書
ちょっと厳しすぎやしないかと思われるかもしれませんが立場的には容認できないレベルでしたので……
ウチの介護施設では、毎月何かしらのイベントを企画することになっている。
大体はおやつを作って提供するパターンが多いのだが、今月はめずらしく「昼食を丸々別のものに置き換える」という大がかりな企画が立ち上がった。
ホットプレートなどの熱源を使うし、入居者様の中には食事の形態がミキサー食の方もいる。安全対策はどうするのか、食事形態の調整はどうするのか。
私は企画者に「そこをしっかり盛り込んで、なるべく早く提出してね」と伝えておいた。
しかし、待てど暮らせど提出がない。
当初の計画日を過ぎ、てっきり中止になったのかと思っていたら、先日ようやくメールにて企画書が提出された。
――中身を確認した瞬間、私はリアルに白目を剥くことになる。
そこに書かれていた「対策」は、あまりにも恐ろしいものだった。
①ミキサーなどの方は柔らかくして提供。嚥下状態に注意し、誤嚥に注意
いや、どうやって柔らかくするんだ。そして、どう注意するんだ。
②火傷などの事故に注意
だから、どう注意するのか。しかも熱々のホットプレートをリビングで使う?
ちなみに計画書によると、その時間、フロアにいるもう一人の職員は入浴介助中である。
ワンオペでどう予測できない行動を取る認知症利用者を守れと。
③予算が余れば飲み物やデザート
そもそも予算はいくらを想定しているんだろう。書かれてないよね。
そして「余る」とは……?
もはや、まるで中学生の文化祭の企画書である。いや、中学生の皆さんに失礼でした。申し訳ない。
今回はこれでもヤバめなところを三つ厳選してピックアップしただけで、実際にはもっと大量のツッコミどころが地雷原のように埋まっていた。
もうね、ため息しか出ない。
よりによってこの書類が送られてきたのは、私の貴重な「休みの日」である。
なぜ私は、休日、しかも夜中だというのに、必死になってこのお粗末な企画の安全策を代わり修正しているのだろうか。
何で休みに働いているんだ、私は。
画面に映る自分の虚ろなオーク顔を見て、また白目を剥きそうになる。
だが、本当に恐ろしいのはここからだ。
これだけ私が頭を抱え、文字通り手取り足取り「こうやりなさい」と修正した完璧な指示書を送り戻したとしても、当日それらが綺麗さっぱり無視される可能性があるのだ。
いや、「可能性」ではない。「大いにある」のだ。
悲しいかな、今回の担当はまさにそういう「やらかし気質」の職員なのである。
当日になって「あ、忘れました」「まあいけるかと思って」と、独自のノリでホットプレートを大爆発(精神的に)させる姿が、今から容易に想像できてしまう。
無事に終わることを祈るばかりだが、私の胃はすでにギリギリと音を立てている。
……うん、決めた。
とりあえず今回のイベントをなんとか乗り切ったら、今後の食事レクは原則「認めない方向」で本気で検討しよう。私の心臓と休日のために。




