目のない人形 6
疲れ
「っっ!」急に目の前が見えるようになった衝撃。見える光景の気持ち悪さ。遮断されていた視界がもどった時、得られるようになった情報は見えないままの方が良かったとさえ感じるものばかりだった。絶えず入り続ける左目からの情報を処理できずにいると「どう?見つかった?」と後ろから声が聞こえる。反射的に後ろを向くと、そこにいたのは幼い声を持つ少年などではなく、女児が持つクマの人形のようなものが立っていた。「、、、人形?」今までこれと喋っていたのか?いや、人形が喋っているのも意味不明だが、、片方とは言え目が見えるようになったりで、もはや帰れればなんでもいい気がしてきた。「早く見つけてね!じゃないとママが起きちゃうから。」目のないクマがこちらに話しかけてくる。聞きたいことは相変わらずたくさんあるし、まだ若干困惑しているのだが少しずつおかしなことが起こるのにも慣れて来たので、質問するよりも先に自分の目玉を探すことにした。といっても、この部屋には人形が多すぎる。喋るクマとはまた違う人形が部屋一面にびっしりと置かれていて、一つ一つ見ていては途方もない時間がかかる。目についた人形をひとつ手に取り、顔を見る。片方しかないが、明らかに立体感のある目を持っている。完全に人の目玉だ。この部屋の全ての人形が人の目玉としか思えないほど精巧な目玉を持っており、この中から自分の目玉を探すなど到底不可能だ。人形の目玉を指の先で触ってみる。感触はまさに人間の目そのものだ。だが、これは俺のではないと思う。そもそも自分の目をよく見る機会など無いのだから、見たり触ったりしてもわかるわけもないが。少し強めに人形を突く。「いた!」さっきまで動きのない人形が声を荒げる。「もっと丁重に扱いなさい!」女児の持つ人形に怒られ、すみませんとしか言えず、この変な状況にもはや笑いが込み上げてきた。いや、待て。ここにいる人形全てが生きているなら、直接聞けばいいじゃないか。「すみません、ここに俺の目を持っている方はいませんか?」そう声をかけると不完全な人形たちが一斉に喋り出し、少しすると一人?の人形が声を上げた。「さっきママが持って来た目があるけど、これじゃないかな。」右手のちぎれた小柄なパンダと前足が片方ないゾウが、協力して一つの目玉を持って来てくれた。根拠はないが、その目を見た瞬間これは自分の目だと確信した。パンダたちにお礼を言い、受け取った目を、未だ穴の空いたままの自分の右目部分に嵌め込んでみる。先ほどの痛みを再度感じ、しばらくして目を開けると右目も見えるようになった。持っている携帯で確認すると、左にはボタンでできた目がついており、右には自分の目がついている。片方だけだが、自分の目が戻って来たことをその場の人形たちと喜んだ。喜ぶ声を聞いたクマが「見つかったみたいだね!それじゃあ僕の目を返してもらうね!」と言い顔に飛びついてきた。目を取るときは、つける時とは違い痛みはないが、脳の内側を引っ張られる感覚があり、激しい吐き気を感じたが、ぐっと堪えた。「それじゃあ、もう一つも探しに行こ!」左目を取り戻したクマはそう言い、部屋を出て行こうとする。俺は人形たちに感謝を伝え、クマの後に続こうとした時、『ドンッ』ものすごい振動が部屋中に響いた。
忙しくて推敲とかおろそかパーティ




