目のない人形
下書き最後。(1月20日現在)こっから失踪する可能性あります。
ない。ない。何度触って確かめても目玉がない。手で触る感触は、本来目玉がついている位置に何もないことを知らせてくる。恐怖が増す。見知らぬ場所に囚われている時点で相当な恐怖であったのに、怪談を想起させるような奇怪な現象が自分を襲っている。頭が痛みを訴え、喉が締め付けられるような痛みを感じる。呼吸は浅くなり、目玉のなくなった穴から涙が溢れそうになる。必死に気持ちを落ち着けようと考えを巡らせていると、膝元から物音がして思わず後ずさる。「チュウ」鳴き声からしてネズミであろう。はぁ、とため息をつく。衛生的にも悪いのか。最悪な気分なことには変わりないが、驚いたことで逆に気持ちが落ち着いてきた。「あ」クリアになった脳みそが希望を見つけ、思わず声が漏れた。そうだ。ネズミだ。ネズミがいるなら、少なくとも誰も来れないような場所ではない。下水道にでも落ちたりでもしたのかも知れない。きっとそうだ。ここさえ出られたらなんとかなる。感情が昂ぶれば人は動ける。俺はバランスを整え立ち上がり、手を前に振りながら必死に壁を探す。一歩、二歩。ゆっくりと前に歩く。足元をネズミが駆ける音が聞こえる。道を知らせてくれているのかも知れない。どんどん足を出す速度が上がる。「ガキッ」何かを踏み潰したような感じがしたが、そんなことはどうでもいい。何かを踏んでから数歩歩いたところに扉らしきものの取手を見つけた。ここから出られる。取手を下げようとする、が。動かない。ダメだ。開かない。ここから出られない。ガチャガチャと必死に取手を下げようとするが、それが開かないことはとうにわかっている。それでもこうしなければダメだ。希望が無くなると、多分もう動けない。その時、後ろから声がした。「ねぇ。」




