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時が止まる


ふれあい広場を堪能したふたりはカフェスペースで休憩することにした。

桜子はバニラ味のソフトクリームを食べる。


「喉乾いたから美味しい〜」


陽一は目を細めた。


「あっ」

「ん?」

「垂れる」


桜子は首をかしげた。

陽一は顔を近づけた。


ペロ


桜子は目を丸くした。

バチッと陽一と目が合う。


ドキン、ドキン、ドキン


彼女の指に垂れたアイスを熱い舌が舐めた。


ゾクッ


「......っ」


桜子の顔が赤くなる。

彼から目が離せない。


「早く食べろ。どんどん垂れてくる」

「あ……えっと……はい」


桜子は慌ててアイスを食べる。


「あの……」

「ん?」


桜子は右手を差し出す。


「?」

「アイス、まだ付いてる」

「……」


ってわたし何言ってんの!?

陽一さん呆れてるよね……


「自分で舐めればいいだろ」

「えっ、さっきはあんな……!」

「......あぁ、舐めて欲しいの?」


陽一はニヤッと笑いながら頬杖をついた。


「も、もういいです!」


引っ込めようとすると、手をつかまれた。


「えっ」


次の瞬間


ふきふき


ウェットティッシュで彼女の手を拭きだした。


「世話が焼ける」


と呟きながら指の間まで丁寧に拭いてくれた。

桜子は少し頬を膨らませた。


勇気出して言ったのに〜

でもすごい丁寧に拭いてくれた


食べ終わると、左手も出してみる。


「……どうしたんだ」


陽一は呟きながら、拭いてくれる。


「このあとどうする?一通り見終わったが」


これあれだよね?


「まだ、帰りたくない、です」


反応を見るようにチラッと彼を見る。

すると、陽一は呆れた顔で左手を頭に当てていた。


「……今のナシ!忘れてください!」

「知らないからな」

「?」

「俺ん家、来る?」


うわぁ……!

少女漫画で良く見る展開!


「はい。……と言いたいところだけど、親にまだ陽一さんのこと言ってなくて……」

「厳しい人?」

「そう、ですね……」


桜子は深く息を吐くと、スマホを取りだし、文字を打ち始めた。


「本当のこと送りました」


少しして母親から連絡が来た。


『彼氏!?というか家行くの?大丈夫なの?』


「こうなるよねー」

「ダメだって?」


桜子は視線で陽一に助けを求めた。


「貸してみろ」


『桜子さんとお付き合いさせていただいている溝田陽一と申します。突然のご報告申し訳ございません。近々ご挨拶にお伺いします。今夜桜子さんをお借りできないでしょうか。』


陽一はスマホを桜子に返した。


「わぁ!すごい!……ん?今夜?」

「何だ。泊まるつもりなんだろ?」


桜子は固まった。


泊まるつもりなんだろ?とは!?


少しして返事が来た。


『娘を無事に返してもらえるのなら』


「陽一さん、あの……」


陽一はスマホをのぞく。

「約束します」とだけ打って返信した。


「行くか」

「は、はい」


ふたりは立ち上がった。

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