嫉妬?
ランチは水族館内のレストランで食べることにした。
陽一はカレーで、桜子はハンバーグだ。
「カレーって辛いですか?」
「ううん」
「ほんとに?」
「うん」
陽一はカレーをスプーンですくうと差し出す。
「ほら」
桜子はおそるおそる手を伸ばす。
「口開けて」
「へ?」
「早く。垂れる」
桜子は少し顔を赤くしながら、それを口に入れた。
「ん!美味しい!」
「辛味が足りないけどな」
「わたしはこれくらいがいいな〜」
「ふ〜ん」
桜子は箸でハンバーグを1口大に切った。
「1口いりますか?」
「いや、食え。桜は細いんだから」
「わかりました」
少ししてふたりは完食した。
「あ〜お腹いっぱい!」
「もう少し食えたな」
「結構量ありそうでしたよ?」
「そうでもなかった」
陽一は水を飲み干す。
「じゃああとで何か食べましょ」
「うん」
桜子は園内マップを広げた。
「ふれあい広場……?」
「行ってみるか?」
「はい!」
ふたりはふれあい広場に向かった。
✱✱✱
ふれあい広場に着くと、桜子の目が輝いた。
犬が放し飼いにされており、小屋の中で猫やモルモットなどと触れ合えるらしい。
「小屋の中行きましょ」
ふたりは小屋の中に入った。
猫のスペースと小動物のスペースが区切られていた。
「猫触りたい!」
「どうぞ〜」
ふたりは猫のスペースに入った。
しゃがむとグレーの猫が桜子に寄ってくる。
「わぁ……!人懐っこい!」
グレーの猫は前足を彼女の膝に乗せると、顔を近づけてきた。
「!」
「かわいい!キスしてきた!」
「……」
陽一は複雑そうな顔をする。
「陽一さん?」
「何でもない」
「?……あっ、わかった!嫉妬してるんだ」
「してない」
陽一は眼鏡を押し上げた。
「絶対してる」
「してないって」
「ほんとかなぁ」
「……嫉妬してるとしたら?」
桜子は瞬きした。
「えっ」
三毛猫が陽一に擦り寄ってきた。
「にゃん」
三毛猫はしっぽをピンと立てている。
もう1匹白い猫も陽一の匂いを嗅ぎに来た。
「ちょ、陽一さんはあげないよ」
すると、陽一はクスッと笑った。
「桜も嫉妬してる」
「そ、そりゃあしますよ!わたしはこんな風に甘えられないもん」
「甘えるの我慢しなくていい」
桜子は驚いた顔をした。
「俺には、俺にだけ甘えてくればいい」
「陽一さん……」
桜子はまばたきしながら視線を落とす。
そんなこと言われたら……我慢できなくなる
「桜子」
驚いた顔をして、陽一を見た。
「今日楽しいか?」
「た、楽しい、です」
どうしよう……
今、ものすごく、陽一さんが欲しい
桜子は彼に気づかれないように、なぜか溢れそうな涙をぐっと拭ったーー




