ヴァルタンでの生活
前回のあらすじ、健一が住み込みの職場で働き始めた。以上!
就職して1週間が経つ。野宿生活が嘘みたいな生活だ。村のレベル屋に行ったが1レベルも上がらなかった。前世で得た経験値が多かっただけで、強めのモンスターでも倒さないと、レベルは上がらないそうだ。前世では発酵食品をたくさん食べていたから経験値が多かったのかもしれない。
今はヒカリオウレンの研究が研究所で行われている。
研究者の名前はアルバスで、研究所の名前はアルバス研究所だ。
沼地の泥でヒカリオウレンを育てているが、ヒカリオウレンは今のところ、大した特徴は発見できていない。胃腸薬としての効果も発見できていない。
そんな生活がしばらくただかと思っていた。
ヴァルタン村に住んで2週間が経つ頃、
「大変だ。ウィングさんがグンタイバチに食われたぞ。多分村の近くに巣がある。村を捨てて逃げるぞ。」
そんな声が聞こえて来た。
「はぁっ、グンタイバチってなんですか?」
アルバスさんに聞く
「説明している暇はない。とりあえず資料を持って逃げるぞ。」
「えぇっ、あっはい」
それにしてもグンタイバチってなんだ?
そして、村から1Kmほど逃げると、村人たちの足が止まった。
「流石にもう大丈夫だろう。」
アルバスが言う。
「グンタイバチって何ですか?」
「そうだな。こからの地域で最も危険だと言われているモンスターだ。」
ここらで1番危険とはどんなモンスターだろう、村の図書館で哺乳類の図鑑を読んだが、モグラオオカミというライオン大のオオカミが生息していると書いてあった。
「グンタイバチはいくつかの...」アルバスの話をまとめるとこうだ。
・職業があり暗殺者、運び屋、軍隊、警備員に分けられる。
・暗殺者は蚊ほどの大きさだが、麻痺させる神経毒を持つ。
・軍隊はスズメバチの2倍ほどの大きさで、大きな顎が特徴で暗殺者と運び屋の護衛と、麻痺させた獲物にとどめを刺す。
・運び屋は大きくはないが、鋭い顎が特徴で軍隊より一回り小さい。顎で獲物の肉を切り裂き、巣に運ぶ。
・警備は巣の護衛で、小さい頃は巣の中での雑用も担当する。
・女王蜂の無精卵からは警備員が生まれ、有精卵からは軍隊(まれに雄と女王蜂)が生まれ、警備員の無精卵からは暗殺者が、有精卵からは運び屋が生まれる。
といった感じだ。
図鑑でみたモグラオオカミや俺を殺した巨大なカモシカ(ツノジシ)ですら食べるらしい。ここらで最も危険だと言われるのも納得だ。
しかしハチクイアナグマという地球でいうラーテルのような生物が天敵らしい。
煙や炎も苦手らしい。
剣やスキルではほぼ倒しようがない。
「ここにも追手が来るかもしれません。今のうちに近くの別の村に行きましょう。」
そう叫ぶと村人達は立ち上がり、作戦を立てながらストライド街道を北に歩き始めた。
今回は少し短めでしたね。ここでモグラオオカミの形質を紹介します。
モグラオオカミ 食肉類イヌ科イヌ属
特徴
・かなりの大きさの出入り口が複数ある巣を掘る。
・巣で待ち伏せして、狩りを行う。
・排泄は巣の最下層で行い、そこには遠くにつながる排気口的な穴もある。
・子育てはトイレの次に深いところで行う。
・一つの巣に一人の雄がいて、(子供を除く)巣にいない雄はライオンのように単独で暮らす。(ライオンのように子殺しも行う。)