学院入学②
ーーーーーーー入学初日学院へ向かう馬車
あれからリュイは気味悪くせに毎日身に着けていたものだから、隙を見て盗み取り燃やしてやったわ。
どう見ても趣味が悪いし、本人も体調を崩していたしね。
新しいものをお姉さまが作って差し上げたわ。もちろん、父様母様の分も。
え?流行り物を自分も作ってみたかった口実?そんなわけないでしょう?
「それで、僕にも贈ってくれたの?」
「ええ。アルは最近忙しいと聞いて。身体が健やかであるよう想いを込めたわ」
アルには、シルクという最高級生地を使い”ルクライン家”の紋章を刺繍した。
ルクライン家は大きな鳥が紋様に入っていて、蔦が伸びているよう。
中に私の瞳の色を入れたわ。さすがの相手も引く?いいえ。
ロマンチストと言ってちょうだい。第一、ばれないように小さめのを入れたから大丈夫よ。
「素敵だね。ありがとう。僕も近いうちにお返しを送るよ」
「お返しなんて、気にすることないわ」
「僕も何か普段から身に着けられるものを贈りたいんだ」
「まぁ!ありがとう!」
アルとの仲は順調。
わたしもいつの間にか心を寄せていたわ。
容姿こそ目を引くことはわかりきっているけど、長く一緒に過ごすことは中身も重要になるわ。
飾りではないのだから。
けれど、アルは隣国の王女殿下にも、とても良くしていただいてるみたい。
まぁ王家としては評判も良く、国にも多大な貢献をしている公爵家に降嫁させたいのが本音ね。
「お手をどうぞ?僕の妖精姫。」
「ありがとう。私だけの騎士様。」
馬車はあっという間に着き、アルにエスコートしてもらう。
たくさんの視線を感じるが、恐らくアルね。
容姿もあるだろうけど、知名度が他の貴族より群を抜いているもの。