婚約者殿③
ーーーーーー中庭にて
「ターフェアイト伯爵嬢」
「はい。ルクライン公爵子息。いかがいたしましたか?」
「もし良ければ堅苦しい言葉遣いは辞めてお互い愛称で呼びませんか?・・友達とは言っても、結婚?を考えているし」
そんな近くで言われてもこちらの心臓がギュンと握られるだけなのでやめていただきたい。
齢11歳のノミの心臓では顔面国宝は耐えられません。
いけないいけない。貴族の結婚は家同士の繋がり且つ繁栄。そのため夫の稼ぐ能力第一。顔ではない。
「わかったわ。アルと呼ばせていただくわ」
「そのほうが距離が縮まったみたいでいいね!僕もエラと呼ぶよ。ところでさ、僕たちの結婚についてどう感じる?」
急に質問だなんて試されているのかしら?
まあよく知りもしない私に手始めに適性検査ってところかしら
「父と公爵が旧友ということで、縁があったと聞いてるわ。両国の絆にもなるし伯爵家としてはメリットが大きいけど、公爵にとってはそこまで旨みはないんじゃないかしら。」
ジャピニシア王国はとても大きな国で我が国の3倍はある・・・。
いくら父同士が仲良くても普通は自分の国で探すものではないだろうか
「一般的に考えるとそうだね。さすがエラ。でもこの結婚でしか得られない旨味はなんだと思う?」
「わからないわ」
「はやいなぁ。妖精の国って知ってる?」
「聞いたこともないわ。おとぎ話?」
嘘だ。聞いたことくらいある。
妖精王と人間の話。ラブロマンスではなく熱い友情物語っだった気がする。
最後は加護か何かをくれるんだよね。
「本当の話だよ。エラ。僕の瞳に何が見える?」
「え・・・・」
これ以上近くでどう見ろというのよ・・・。
にしても確かに至近距離で見るとさっきまで見えなかった瞳のの色がより鮮明ね。
「オパール?・・・・」
「そう!やっぱりね。この瞳は見る人によって色の感覚が違うしたいていは金色って答える人が多いんだよ。オパールに見えるのは妖精の生まれ変わりと言われていて魔力があるんだよ。ちなみに、エメラルドに見える人は微力ながら魔力もちの人が多いよ。」
「そんなの使えません。どこの物語ですか。」
「まぁ素質って考えてくれていいよ。風邪ひかなかったり、不運にならなかったり、まちまちだけどね。でもオパールを見分けられたのはエラが初めて。」
そんなに嬉しそうに言われたところで、話が読めません。。
この世界に魔法なんて存在しないし、平和よ平和。
「だからと言って旨みの話は?」