公爵家令嬢マーリス・ボルト③
「そんな大事なことをなぜ私に?」
「あら、そんなの決まっているじゃない?あなたが私の”推し”だからよ。」
「”推し”・・・」
「そうよ。前の世界で見たあなたは、学院入学前には家族との間に溝ができてしまった弟との関係性を何とか変えたい一心で弟の婚約者を排除しようとするのよ。あなた自身も侯爵家の婚約者がいたのだけれど、学院での醜聞によって白紙に戻ってしまうの。弟のために一生懸命なあなたにとても感銘を受けたのよ。そして妖精の生まれ変わりといわれる容姿。私可愛いものには目がないんですの。うりうりしたくなりますわ。」
貴族社会において、醜聞は耳が痛い話だ。
高位の家であればあるほどその影響力は強く、婚約者くらいでは白紙に戻ることも少なくはない。
しかし、現段階ではリュイと家族の間に溝は無く、婚約者殿もいない。
妖精の話・・・本当に転生しているのかしら。
それにウリウリとはいったい何かしら・・・?
「不明な点も多いですが、理解いたしました。」
「良かったわ。私の見立てでは、アンリーナも恐らく転生をしてきた子ね。発言がアレですもの。エラ様が注意する人物は現段階では3人よ。Sクラス担任のグレン先生、王子側近のツェルバ侯爵息タリバ様、そしてヒロイン(仮)のアンリーナ。」
「何故注意を・・?グレン先生を攻略するには成績3位以内に入っていることが前提条件よ。エラは入学試験3位でしょう?だから既に目をつけられているの。ツェルバ侯爵息は私の前世界でのエラ様の婚約者よ。彼のお父様はかなりの野心家みたいで、経済的にも潤っている伯爵家を狙っていたのかしらね。アンリーナについては転生者であるからこその危険性よ。入学式早々王子殿下達に手を出すんですもの。」
成績順位は非公開。
昔は貼りだしていたらしいが、王族・高位貴族の尊厳とかなんとかで上位10名だけ成績表に記載される形。
もちろん家族以外順位は知らないはず。
「転生は、事実なのですね・・・。」
「もちろんよ。アンリーナがどこまで狙っているかわからないのだけれど、ルクライン公爵息のことを隠れキャラと分かっていたわ。今のところ王子殿下にご執心というところかしら。夏季休業では、王都に寄らないほうがいいわ。」
「隣国の婚約者領地で過ごす予定ではあります。」
「それがいいわね。王都ではイベントが起きる予定だもの。ラクト協会の信徒たちが暴動を起こすのよ。もちろん準備の上阻止しますわ。終わったら私もお茶会にご招待していただけるかしら?」
信徒の暴動どう抑えるのか気になるけど、ここはお任せしたほうがよさそう。
アンリーナ様のこともあるし。
「お茶会の件承知いたしました。暴動阻止もお任せいたします。遠方からでも応援できますのでいつでもおっしゃってください。」
「そう言っていただけて助かるわ。是非これからも仲良くしていただきたいわ」




