面倒事は避けられない茶会④
「申し遅れました。お初にお目にかかります。私はコメット伯爵家長男のユーリアス・コメットと申します。先ほどは妹が失礼いたしました。どうぞお気軽にユーリアスとお呼びください。」
洗練された敬礼。
不快感のない挨拶。
身内の不手際への謝罪。
確か遠縁の男爵家から跡取りとして養子をとったと聞いてはいたけれど、むしろこの方が元々の跡取りと思うくらいしっかりしていらっしゃるわね。
「お気遣いいただきありがとうございます。僕は・アルトホルト・ルクラインと申します。こちらは、婚約者のエラ・ターフェアイトです。」
「よろしくお願いいたします。」
「妹はターフェアイト伯爵嬢に憧れがあって、つい勘違いを生むような発言をしてしまい、申し訳ありません。幼少期から可愛くて両親含めつい甘やかしてしまったのです。」
勘違いで済むようなら社交界は存在しなようなものだわ。
明確に悪意は感じるけれど、今一攻撃的ではない。
コメット伯爵息は15歳の時に伯爵家へ養子に来た。年齢の割には遅めの養子であったため、大体の貴族は彼が養子なのを知っている。当初から伯爵の経営を手伝い、他国との外交にも積極的に顔を出して且つ深く青い長髪に紫の瞳を持ち儚げな印象がご婦人方筆頭に人気があるため、彼と同じ年代の貴族子息たちはあまり良い印象はないと風のうわさで耳にしたわ
「コメット伯爵嬢はユーリアス様のような素敵な家族がいて幸せですね。僕は兄がいないので羨ましい限りです。」
「私も弟が一人ですので友人の兄の存在は憧れていたものです。」
「…いえいえそれ程ではございません。恥ずかしながら剣の腕は滅法でして、ルクライン公爵息には足元にも及びません。ターフェアイト伯爵嬢の優秀さは他国からも聞き及んでいます。今後もぜひ交流を願いたい。では、少しでも楽しんでいってください。また。」
本当に掴みどころのない気を抜けない方だったわ。
それに、一瞬曇った表情も気になったような、なんだったのかしら。




