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サボり魔王子の家庭教師  作者: 梨乃あゆ
第一部 出会編
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第14章 静かな警告⑤

「父上、最後にミルティアのことでご相談が。」

「どうした?」

「彼女の警護についてです。」

「それは私も1番気にかけていた。日中は今まで通りお前達で警護に当たればいいが、問題は夜間だ。大々的に保護という手も事前に考えていたが、身内に敵がいるかもしれない可能性がある中では、危険すぎるな。」

「はい……。ラナが敢えてミルティアに接触をしてきたことを考えると、スーピナ国にミルティアは目をつけられている可能性があります。そこで考えたのですが……。夜も私達が、部屋の中で警護をすることをお許し願いたいのです。」

「はっ?!お前それ正気か?仮にも婚約前の女性だぞ?」



 


 ショコライルの提案に驚いたエクラは、凄い勢いで身を乗り出してきた。息子が初恋を拗らせすぎておかしくなったとすら思え、心配していた。





 


「勘違いしないでください!私1人とは言っておりません。」




 

 冷静に指摘するショコライルであったが、父親にやましい気持ちでいるなど、あらぬ疑いをかけられたのは少々心外であった。






 


「危険がある以上それが1番安全であろう。だが、バーナードがなんというか……。」



 


 娘に恋をしているショコライルが、婚約もしていないのに同じ部屋にいるなど許すだろうか……。般若の如く怒るバーナードの顔が目に浮かび、エクラは身震いした。





 


「ご安心ください。リリアージュ男爵には許可を得ております。」

「いつの間に?」




 

 般若となったバーナードと、対峙しなければいけないと覚悟を決めていたエクラは、予想外の言葉に気が抜けてしまった。





 


「日中、アレンにミルティアが襲われた件を伝えに言ってもらいました。その際にこちらの提案をしたところ、受け入れて頂けました。」

「本当か、アレン?」

「はい。実際に襲われたことで、背に腹はかえられなかったみたいです。必ず2人以上、寝室とは別の部屋で待機とのことでした。それから、アニスはミルティアさんの寝室で一緒に眠るようにとのことです。」

「なるほど……バーナードが許可しているのなら私も認めよう。くれぐれも気付かれないよう慎重に。」

「ありがとうございます。」






 


 ショコライルはホッと胸を撫で下ろした。ミルティアを1人になどしたくなかった。

 本当はショコライル自らが寝室でも護りたいが、さすがに婚約していないため難しい。隣の部屋でも側にいられ、護れるだけでも嬉しかった。部下には交代で警護に当たらせるつもりだが、絶対に毎日警護につくと決めていた。





 


 ショコライルの考えなど手に取るように分かるアレンは、ショコライルが24時間警護をしてしまうことは、容易に想像できたため、ショコライル用の部屋に急ぎ用意することが、今日これからの1番の仕事であると覚悟を決めた。




 ――――――――――――――――


 話し合いは内容は濃かったが、スムーズに進み1時間で終わった。ショコライル達はそのまま、ショコライルの執務室まで移動し今後について話し合うことにした。




 

「アレン、お前に当分仕事をお願いしたい。」



 


 簡単に今後の流れについて話終わると、ショコライルは一つアレンに仕事を頼んだ。


 

「なんでしょうか?」


 


 ショコライルの仕事ならなんでも受け入れる覚悟は常にできているため、深く考えていなかった。





 


「アニスのフォローを頼む。できるだけ気にかけ側にいてくれ。」

「私は侍女の仕事はできませんよ?」


 

 流石に引き受けられないとアレンが反応したが、どうやらショコライルの真意は違ったらしい。




 

「仕事のフォローではない。アニスの心のフォローをしてくれ。」

「私がですか?」


 突拍子もない依頼に流石のアレンも声を張り上げてしまった。



 

「お前しかいない。同期だし、何よりミルティア以外だとお前に1番心を許している。」

「それは間違いない!適任ですよ。」



 

 ショコライルの言葉に妙に納得したのはエディルダであった。




 


「本当ですか?」

「今回の件で、アニスはかなり堪えている。だがそのことを誰にも相談せず内に留めてしまうはずだ。このままではアニスが倒れる。だからお前が話を聞くなり、お茶をするなどして気を紛らわせて欲しい。」

「お茶ですか?」

「俺とミルティアのお茶の時間にでも連れて行ってくれ!眠るのもミルティアと一緒では、気が休まる時がないから。」






 

 ショコライルは本当に部下想いである。そんなところもこの人の魅力の一つだ。正直女性の扱いなどショコライル以上に分かってない。だが昔から知っているアニスなら、まだなんとかやれる気はする。



 


 アニスに倒れられるのは嫌なので、渋々だが引き受けることにした。



 ――――――――――――――――



 ショコライルがミルティアの部屋に戻って来たのは、いつもの夕食時間より少しだけ遅い時間であったが、意外に早く戻ってきてくれたことに驚きと共に嬉しさもあった。




 

 帰ってくるなり抱きしめられ「大丈夫だった?」という過保護ぶりも発揮してくれた。付き合ってまだ1日もたっていないが、今まで我慢していた反動なのか、ショコライルは言葉でも態度でも惜しげもなく愛を注いでくれ、ミルティアはもう胸のときめきが許容量を超えていた。



 


 夕食時に今後のことを説明してくれたが、驚くことばかりであった。常に誰かが側にいてくれること、アニスが一緒に寝てくれることは不安な心を落ち着かせてくれたが、ショコライルまで側にいてくれることは嬉しいが、別の意味で心が落ち着かなそうであった。


 



 夕食中はテキパキとアレンが指示を出す形で、ショコライルが眠る部屋の寝台に寝具を置いたり、護衛騎士が仮眠できるよう簡易の寝台をミルティアが普段生活する部屋に用意された。ショコライルの眠る部屋は使用人の待機部屋であった。



 

 ミルティアの部屋は本来は客室である。慣れない部屋でも少しでも普段の生活ができるよう、この客室には使用人が寝泊まりできる部屋が存在していた。今回はその部屋をショコライルの部屋にしたのだ。



 


 また部屋の一角に何やら人が集まっていた。何を行っているのかショコライルに尋ねると、転移魔法の魔法陣を描いているらしい。魔法騎士以外にも、エディルダのような騎士もいるため、皆が転移魔法を使えるために描いているそうだ。魔力を持つ者が魔法陣の上に乗れば、転移魔法が使えなくても転移できるらしい。転移先はショコライルの執務室であった。


 

 うっかりミルティアが踏まないよう、部屋の一番奥の角に描かれ、普段は消えている魔法陣は、誰かが転移してくる時は魔法陣が光って教えてくれるらしい。



 こうして、ミルティアを護るための作戦は着々と準備されていくのであった。

第14章お読みいただきありがとうございました。



話が長くなってきましたので、今までの話を第一部とし、明日で一度第一部を締めさせていただきます。



明日は11時に更新予定です




引き続きよろしくお願い致します

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