表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サボり魔王子の家庭教師  作者: 梨乃あゆ
第一部 出会編
21/183

第5章 サボり魔王子と秘密の村②

2人でひとしきり笑った後、ミルティアはまだ分からないことを質問することにした。

 

「ショコライル様、ここにきた理由は聞いてもよろしいですか?」

「ああ……。話の続きだったね。来る家庭教師は皆、私と向き合わず、はなから馬鹿にする者ばかりだった。」


 

 (わたくしも同じだと思う……。何故わたくしだけ会ってくださったのか……。)

 ミルティアはショコライルの言葉に不思議に思いながら、彼の顔を見た。ミルティアの隠さない表情に言いたいことが分かったショコライルは笑いながら説明した。



 

「ミルティアが不思議がるのも当然だよ。ただ、先程も言ったけど信頼をおけるものを側に置いていると伝えたよね?」

 ショコライルの問いかけにミルティアはコクっと小さく頷いた。


 

 

「信頼をおける部下の中には、諜報活動が得意な者もいる。彼らに家庭教師が来る前にいろいろ調べてもらったのさ。家庭教師を選ぶのは父上ではなかったから素性を知りたくてね。だが、ミルティアだけは父上が1人でリリアージュ男爵に頼み込んだから突然来て驚いた。調べる前に来ちゃったからどうしようかと思ったけど、ミルティアだったからね。君やリリアージュ男爵なら私のことを利用するために来るとは思わなかったから……それに君に会いたかったんだ。」

 

 ショコライルは思い出したかのように笑いながら話した。会いたかったという言葉を心なしか強く言われた気もしたが、何よりその言葉はミルティアの胸の奥まで響いていた。



 

 

「人間不信になっていたのかもしれない……。挨拶もせず逃げ回るなんて、人として最低なことだからね。でも、純粋に私の力になろうと思って来てくれる人は1人もいなかったから、結果的に逃げていた。」

「……」


 

 

 ミルティアはここまでショコライルが傷ついていることに気付き胸が痛んだ。それでも自分に会ってくれたことが、何より会いたいとおもってくれたことが嬉しく、少しでも支えになりたいと強く思った。




 

「だから、独学で勉強したよ。父上から、私はほとんど王城にいないと聞いたよね?王城で勉強するわけにも行かないから、ここで勉強したりしていたんだ。」

 

 ショコライルはそう言うと、今いるこの部屋を見た。この小ぢんまりとした部屋は、ショコライルの避難場所であり、王太子ではなく、ショコライルという1人の青年となれる場所であった。



 

 「勉強と並んで、国のために今から何か動こうと考えたんだ。学校へ行かない分時間はあったから、何もしないのは時間の無駄だと思ってね。ミルティア、昔私が言った話覚えてる?」

 

 ミルティアは急にショコライルに聞かれて、昔を思い出した。暫く考えてよくショコライルが話してくれた内容を思い出した。




 

 

「……確か、農作物を国土全体で均等に生育できる方法でしたよね?」

「さすがミルティア!よく覚えていたね。」

 ショコライルは覚えてくれていたことが嬉しいと言うように笑顔になった。


 

 (忘れるわけがない。とても素敵な考えだったから……。)



 

 ショコライルは農作物が一大産業のこの国でも、地域によって育たない物や、地域により農作物が育ちにくい場所があることで、農作物の値段の差や国内での生活水準の違いを是正したいと考えていたのだ。

 リリアージュ領も野菜が育ちにくい場所であったため、ほとんど他領から野菜は運び込まれていた。そのため新鮮な野菜は手に入らず、輸送費などで野菜は高く庶民には手を出しにくい食材であったため、それが実現できればどれほど素晴らしいことなのかと初めて聞いた時は感動したのを覚えていた。




 

「まさか、それを?」

「そうだ。ここで研究している。野菜が育ちにくい地域の土を用意したり、気温を調整するなどして、その地域を再現して苗の研究や土の改善など研究しているのだ。」

「すごいです、ショコライル様!」

「いや、そんな褒められたものではないよ。うまくいけば私の実績になるから、私が成人となり今以上に国政に関わることになった時に、馬鹿にしている奴らを黙らせれる材料の一つになるという、自分のために利用しようとするやましい考えがあるからね。」

「そんなことありません!国民のことを考える行動にやましいなんて思いません!評価されるべきすばらしい実績です!!」


 

 

 ミルティアは自分を卑下するショコライルに必死に自分の思いを伝えたくてつい、ショコライルの手を握ってしまった。すぐにそれが間違いであったと気付き慌てて手を離そうとしたが、ショコライルに握り返されてしまった。



 

「もっ申し訳ございません。なんてはしたないことを。」

「いいんだ。気にしないで。それに君に頼みがあるんだ。」

「頼みですか?」

「ああ……。」

 

 そこまで言ってショコライルは一度ミルティアから目を離すと、覚悟を決めたように強い眼差しでミルティアを見つめ直した。




 

「私の恋人になってほしい!」

「へっ?」

 

 ミルティアはあまりに突然なことに理解できず、間抜けな声を出して固まってしまった。

 

次は15時に更新予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ