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追放される氷の令嬢に転生しましたが、王太子様からの溺愛が止まりません〜ざまぁされるのって聖女の異母妹なんですか?〜  作者: 星井ゆの花(星里有乃)
正編 第三章

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第11話 変化する展開


 次の日の朝、ギベオン王太子との電話が原因でルクリアは一睡も出来なかったが、仕方なく学校へ行く支度を始める。

 制服に着替えて身なりを整え一階に降りると、父親のレグラス伯爵の姿はあったが、異母妹カルミアの姿はなかった。どうやら、本当に昨日はレンカの寄宿舎に泊まったようだ。


「おはようございます、お父様」

「おはよう、ルクリア。昨日は仕事の関係でちょっと帰りが遅かったんだが、カルミアに至っては外泊で帰って来なかったんだな。新しい生徒の世話係で寄宿舎に泊まるとか何だとか」

「ええ、一応あの子生徒会で広報係を任されているし。隣国からやって来たというレンカさんを、手助けしているんだと思うわ」


 一般生徒は寄宿舎になんか泊まれないはずだが、レンカという少女が特殊な事情の持ち主であること、カルミアが生徒会役員であることが多少の自由が利く理由だろう。


「ふむ。カルミアは継母のローザとちょっといざこざがあって、あれから家族の居間に姿を現さなくなったからな。家庭の事情を盾に、まさか寄宿舎へと入る気なのかと思ったのだが」

「まぁ、可能性がなくはないわよね。けど、ローザさんと顔を合わせることでそんなにストレスなら、寄宿舎へ移動するという選択肢も悪くはないと思うわ」

「……ワシは少し寂しいがな。うむ、では食べようかルクリア。今日は、倭国の朝食を我儘言ってローザに作って貰ったんだ。ワシの箸使いをお披露目するぞ」

「ふふ、楽しみね」


 いわゆる異世界における日本に該当する倭国の朝食は、大根おろし付きのアジの開き焼き魚定食で、ご飯になめこのお味噌、煮ものやお豆腐、海苔、卵焼き、緑茶も用意……と異文化圏のメイドが作ったにしては上出来だ。しかし、ローザというメイドの正体が異世界転生して来た日本人女性で、カルミアの前世のお母さんということを加味すれば納得の出来といえる。


(本当はローザさん、カルミアにこの朝食を食べさせたかったんだろうな。まるっきり、日本の朝ごはんですもの)


「そういえば、ルクリア。最近はギベオン王太子よりも、ジェダイト財閥のネフライト君の方と仲良くしているらしいじゃないか。不可抗力とはいえ怪我をさせてしまった相手だし、もしそういう仲になるつもりであればワシに予め伝えて欲しい」

「えっ……お父様、突然どうしたの」

「いや、昨日王宮側からそういう話があったのだよ。ギベオン王太子とルクリアはいわゆる家同士の婚約だから、異母妹のカルミアが正式にレグラス家の人間になったのであれば婚約者はカルミアでも問題ないと。ルクリアがジェダイト財閥のご子息と想いあっているのであれば、尚更そちらの人間関係にカドが立たないよう配慮して欲しいと」


 昨夜、ギベオン王太子が別れ話とも愛の告白ともつかない電話を寄越したのも、もしかすると王宮側から何か話があったのだろうか、とルクリアは思った。


「ネフライト君とは今のところ良いお友達という感じよ。ほら、まだ彼……中学二年生だし。けど、すごく優しくて素敵な人だとは思うわ」

「そうか、まぁ今すぐにどうのと決めるのは早い年齢だろうな。よし、一度お父さんもネフライト君に会ってみようか。スケジュールが空いてる日に呼んでもらえないかね。もし、ただ単に家に呼ぶのが重く感じるなら、家庭内で演奏会をしよう。ホームパーティみたいなものだが、招きやすくなるだろう」


 どうやら、レグラス伯爵はギベオン王太子の相手はカルミアに替えて、ルクリアの相手はネフライトにするつもりらしい。未来の夫と現在の婚約者の間で、気持ちが揺れ動いているルクリアにとっては少し厳しい選択だ。


「えぇっ? お父様ったら、随分と積極的よね。あんまりネフライト君にグイグイいかないでよ……引かれるとヤダから」

「ははは……引かれると嫌なのか。なんだ、やっぱりルクリアも脈アリなんじゃないか。顔が赤いぞ」

「もうっ揶揄わないでよ」


 愉快に笑うレグラス伯爵だが、昨日の帰りが遅かったことを踏まえると苦肉の策なのかもとルクリアは思った。しかし、演奏会という建前を使って貰った方がルクリアとっても、ネフライトを誘いやすいのも事実。

 自分の中にあるモヤモヤした迷いの気持ちを演奏会の音楽で浄化するのも良いだろう。


(そういえば、演奏会にはカルミアも参加するのかしら。あの子、自己顕示欲だけは強いから、歌いたがるわよね)


 お世辞にも仲の良い姉妹とは言えないルクリアとカルミアだが、異母妹の歌声は嫌いではなかった。別々の楽器や歌声がハーモニーとなる演奏会のように、バラバラになっている家族の心も上手く噛み合うようになればいいと、ルクリアは希望を持って学校へと向かった。



 * * *



 その頃、カルミアは昨日消えかかったレンカの身を案じて寄宿舎暮らしを検討していた。


「ねぇ、レンカ。リメイク版の乙女ゲームのシナリオがどんななのかよく分からないけど、この寄宿舎暮らしって、学園ものの定番だし、新たな選択肢って感じしない?」


 寄宿舎の寮母さんが作ってくれた朝食をレンカと一緒に平らげて、なかなか満足そうである。もちろんローザの作る朝食も美味しいのだが、カルミアとしては気持ちが整理できずローザと顔を合わせたくなかった。逃げるのが嫌という妙なプライド持ちのカルミアだが、レンカの世話を見るという自分の中の正当な理由も出来たため、家を出たい気持ちになったのだ。


「えっもしかして、カルミア叔母さまも寄宿舎で一緒に暮らしてくれるの? ヤッタァ」

「ふふ。まぁ初代主人公たる私がいないと、次世代主人公の貴女もいろいろと困るでしょうし。家の中じゃ異母姉妹だけじゃなく前世の母親で継母まで追加されて気が休まらないし。良い機会かなって、早速お父様に掛け合ってみるわ」


 レグラス伯爵は演奏会、ルクリアはネフライトとの交際を検討、カルミアは寄宿舎暮らしの準備……と、それぞれが自然の流れで急速に、リメイク版のシナリオにシフトしていくのであった。


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* 断章『地球の葉桜』2024年04月27日。 * 一旦完結した作品ですが、続きの第二部を連載再開して開始しました。第一部最終話のタイムリープ後の古代地下都市編になります。よろしくお願いします! 小説家になろう 勝手にランキング  i850177
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