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妖姫  作者: 白龍
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妖姫行方不明?

「ただいまー…ってサバ臭っ!!?」

やはり何かやらかしたか…仕事から帰って来た達郎は、玄関で頭を抱えてため息をついた。

窓の外はすっかり暗くなり、電灯が明るく光っている。


つまり、あのサバの臭いは夜になっても消えなかった。

落ちた物を全部食べ尽くしても、証拠は消せなかったのだ。

「おい妖姫!!どこにいるんだ!!」

達郎は一発懲らしめてやろうと家で妖姫を探し回るが、どこにもいない。

かくれんぼでもしてるのかと疑った。

「どこまで俺を舐めれば気が済むんだ…」

仕事帰りの事もあってイライラしながら達郎は洗濯機に自分の服を放り投げ、その日はそのまま風呂に入った。


「…あー仕事帰りに入る風呂は格別だな」

温まった体をタオルで拭きながら、達郎は妙に色気のある声で独り言を呟いた。

目の前には震えながら動いてる洗濯機。


「あーあ…」

今日の夕食もカップ麺とコンビニで買ってきたハンバーガーだ。

これだけで明日また頑張ろうと胸を張れる自分が誇らしく感じるほどに、色々疲れきっていた。

テーブルに頭を置く。

このまま目を閉じれば寝てしまいそうだ。

こんな時くらいは妖姫には来ないでほしい…リラックスしてる時くらいは。


「…ってあれ?」

達郎は、お湯と共に洗い流していた妖姫の事を思い出した。

あいつはどこだ?

どこに消えた?

帰って来てしばらくたつが、家のどこにもいない。

苛立ちから段々心配になってきた達郎はカップ麺を置いて立ち上がり、家のあちこちを回って妖姫を探す。


押し入れのなか、机の下、布団のなかにベランダ。

隠れそうな場所は次々に調べたが、やはりどこにもいない。

外に出ていったのか?もしそうなれば犯罪にでも巻き込まれて…。


いや、悪霊だから犯罪に巻き込まれる以前に彼女の姿は見えないのだからそもそも人と目が合う事すらない。


その時、洗濯機が音をたてて停止した。

「ん?今日はばかに早いな」

妖姫の事を心配しつつも、達郎は浴槽に向かっていった。



「あ、壊れたか?」

洗濯機は動きを止めていた。

この洗濯機ももう長い事使っている。

独り暮らしを始めて約七年間、ずっと使い続けているのだ。

壊れてしまうのも無理はない。

「さすがに寿命か…」

やれやれと洗濯機の蓋を開ける達郎。




「やっと出れたのじゃ…」

「ぎゃあああああ!!?」

中から出てきたのは…洗濯物にまみれてひっくり返った妖姫だった。



洗濯物を何と勘違いしたのか、妖姫は洗濯物に入って昼寝をしていたらしい。

すっかり熟睡してしまい、目覚めた頃には洗濯物と共にグルグル回されていた、という訳だった。


「わらわが溺死していたらどうするつもりだったんじゃ!」

「お前は溺死しねえだろ!寝るなら大人しく部屋で寝ろ!!」

部屋で妖姫をドライヤーで乾かしながら、達郎は呆れ果てていた。

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