表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖姫  作者: 白龍
5/25

妖姫の寝相

その日の夜…妖姫は達郎と一緒に寝たいと言い出した。

悪霊と寝るなんて今まで夢にも思わなかった事だ。

…というか夢にも見たくなかった。


貧相な自室に青い布団を広げ、達郎は早速布団に入る。

風呂に入り、この布団で寝れば疲れをとる仕上げだ。

…一人で寝るはずだったのに、妖姫という完全なる邪魔が入っていつものようにはいかなそうだ。


「これがおぬしの寝床か。お邪魔するのじゃ」

妖姫は図々しく達郎の横に入ってくる。わざと居にくそうな動きで抵抗する達郎だが、自己中な妖姫がそれに気づくはずもない。


しかも、寝るのがやたら早かった。

布団に入って十数秒後、妖姫はすっかり目を閉じて寝息をたてていた。

さすがに、寝てる時までは大人しい。

「…まあ、子供が遊びに来たと思えば…」

自分に言い聞かせながら、達郎も眠りにつこうとした。



現実は甘くなかった。

妖姫の寝相はとにかく悪かったのだ。


「いって!!」

達郎は、夜中に顔に痛みを感じて飛び起きた。

横をみると、そこには足を突き出してくる妖姫が。

はじめはわざと蹴ってきたのかと怒りそうになるが、顔を見ると目を閉じてすっかり寝ている。

つまり、寝相だ。

(最悪じゃねーかよ!)

起こさないよう心のなかでキレる達郎だが、キレたところで何も解決しない。

妖姫はそれからも踏みつけるように達郎の顔を蹴り、更に時間が進むと今度は転がりだしたのだ。

達郎の体の上にのっかり、そのまま器用に転がっていき、部屋の壁にぶつかって鈍い音をたてても一切起きる様子がない。

これには当然ながら達郎もイライラのあまり頭をかきむしった。


達郎がようやく眠れたのは、布団に入って三時間後、睡眠時間はたった二時間となった…。


そして、翌日の朝。

「良い朝じゃのー」

悪霊だというのに、窓を開けて陽の光を全身に浴びてリラックスする妖姫。

昨日の夜、よく眠れて全身の霊力がとても清らかになっていた。

…達郎という犠牲者は出たが。


「早速朝食をいただいてやるのじゃ。達郎、準備せい」


布団から起き上がったのは、目を細めてクマができかけている不機嫌そうな達郎。

「おや、どうしてそんな不細工な顔をしておるのじゃ?」



「おめーのせいだ!!!」

妖姫は、ほんの少しだが、わざと達郎に驚いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ