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妖姫  作者: 白龍
12/25

ポルターガイスト

達郎と妖姫が、何となくぼーっと過ごしている時、それは起きた。


「!?」

二人の耳に、大きな音が飛び込んできた。

部屋の本が、床に寝転がっている二人の間に飛び込んできたのだ。

勿論寝転がっている二人は机の上にあった本を投げる事などできない。

かと言って誰がやったのかといえば、この部屋には達郎と妖姫しかいない。


顔を見合わせる二人。

同時に指を差し合い、同時に頭を横に振る。



そして、同時に本を見る。

床に落ちた本は、虫のようにピクピク震えると、空中に飛び上がってこちらに突進してきた!!

「な、なんだ!!?」

達郎は間一髪でそれをかわす。

しかし本は屈んだ彼に狙いを定め、またもや突進してくる!

それだけではない。

本以外にもフィギュアやらペンやらバッグやら…部屋中の物が一斉に浮き上がって襲いかかってくる!

これには幽霊などにも比較的慣れていた達郎もパニックに。

妖姫は飛んでくる物をかわしつつ、正体を探った。

「こりゃポルターガイスじゃ!」

「は!?ポルターガイストって外国じゃねえの!?」

確かにポルターガイストは外国の心霊現象。

だがただ外国の心霊現象というだけで、別に日本では発生しないという根拠や証拠はどこにもない。

これは日本版ポルターガイストだ。

妖姫は両手を構え、飛んでくる物に念力を浴びせ、空中に押し止める。

「達郎、逃げるのじゃ!」

「で、でも…」

「良いから逃げるのじゃ!」

達郎は、部屋から飛び出した。

あんなに頼もしい妖姫を見るのは初めてだ。



妖姫のあの念力があれば、ポルターガイストの襲撃も避けられるかもしれない。

自分ができる事は…ここから離れ、何か武器を持ってくる事だ。

このまま逃げるなんて情けない。

せめて彼女の手助けができれば…。



「ぎゃあああああ!!?」


物凄い悲鳴が、大量の物が床を叩きつける音が聞こえてきた。


達郎は振り返り、今抜け出したばかりの部屋に駆け戻った!



「…あらー」

達郎の自室は、沢山の本や会社の資料、そして倒れた妖姫で凄まじいほどに散らかっていた。

肩の力を抜く達郎の目の前で、浮かび上がる本や資料。

何かに手放されたように床に落ち、ポルターガイストが二人に飽きてどこかに行ってしまったのを知らせていた。

妖姫は倒れたまま、右手でサインを送る。

「…やったのじゃ…」

「…」



その後、達郎と妖姫は部屋の片付けに苦しんだのだった…。




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