四話
駄目だ。全然友達ができない。話しかけても関わってほしくないオーラがあからさまに出ている
唯一友達になれそうなオタクくんも、君みたいな王道系は拙者達女児系と対立をなしていると考えているのでフレンドになるのは無理でござるwww、と言われた
もう他に友達になれそうなやついねーよ。一番話してる相手担任とか終わってんだろ
午前中を終え昼、今日は担当の先生の自己紹介とかで終わったからそんなに疲れなかったが、色んな人に話しかけて精神的ダメージを負ったからクタクタだ
教室で食べるのは何となく嫌だったから屋上へ行ってみることにした。もし人が居なければ愛用に出来る
屋上の扉を開けようとした所で声が聞こえてきた。残念ながら独占とはいかないようだな
「おい、お前いつになったら金を返すんだ?一ヶ月前から借りっぱだから利子増し増しだけど文句はねぇよな?」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。あのお金はそもそも君達が」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!さっさと金だぜって言ってんだよ!」
くそ、屋上なんて来ないで大人しく便所飯をしておけば良かった。この会話を聞いたことによってここを去ろうとすれば呪いが発動する。本当に厄介だな
学校内だしマスクはいらないだろ。荒事になることも考えて弁当箱は置いといて、と。ではいざ
「あぁ?今取り込み中だ、後にしろ」
どうやら眼鏡を掛けた気弱そうな男がガラが悪そうな三人に囲まれて脅されているらしい。学校で暴力沙汰は勘弁だからなるべくお話で解決できれば良いんだけどな。今日はまだ二日目だし
「あのー、あまりにも酷そうなら先生を呼びますけど」
「呼びたきゃ呼べよ。事情も知らねぇやつがしゃしゃるな」
あれ、こう言ったらすぐ襲い掛かってくるものかと思ってたんだけど結構我慢強くのかな?
「た、助けてくれてそこの君!こいつらに脅されて金を取られそうなんだ!」
「おい!お前いい加減にしろよ!」
さっき話していた男とは違う奴がついに我慢出来なくなったのか眼鏡の胸倉を掴む
呪いが急かす様に不快感を与えてくるが、実害がないと助けても俺が怒られるのはごめんだ
「おい止めろ。いいか糞眼鏡、もう一ヶ月待ってやるよ。それまでに利子も含めてきちんと返しやがれ」
え?ウッソだろ?こんなガラ悪い見た目して激情に身を任せない奴なんて見たことないぞ
「え、良いんですか?こいつこのままだと」
「良いから早くしろ!どうなっても自業自得だろ」
そう言うと舌打ちしながら三人組は屋上から去っていった
俺、爺に呪いをかけられてからもう二年程たつけどあんな奴等初めてだ。意外と冷静な奴も居るもんだな
「あ、ありがとうそこの君!お陰でカツアゲされなくて済んだよ!」
「あぁ、いえ。大丈夫でしたか?」
「うん、おかげさまでね。僕は僣導里、君の名前は?」
「あ、俺は漆川英人と言います。えっと、さっきの人も含めて先輩ですよね?あーいう奴等に絡まれるのは大変ですよね」
「うん、高校二年生だよ。大変だけど、まぁもう慣れたよ。僕は見た目が弱そうに見えるのかしょっちゅうあってね」
ちょっと待てよ。これってもしかしてチャンスなのでは?ここで恩を売ってあわよくば友達になりこの人の友達とも友達になる。これで高校生活は充実だ。やったぜもう勝ち組だ
「英人、もし良かったらなんだけど何かお礼をさせてくれないか?大したことは出来ないけど何か困っていた」
「なら友達になってください!」
「ら、え?と、友達?そんなことでいいの?そんなのこっちからお願いしたいくらいだよ」
眼鏡、じゃなくて俺の友達第一号の僣導先輩は恥ずかしそうに微笑んだ