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俺は、英雄になりたい  作者: りんぬごろごろ
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一話



 やらかしてしまったぁ!そう気が付いたのは自己紹介が終わった後だった。俺の中ではこの自己紹介をすれば同じ趣味の奴等がすぐに友達になってくれるものだと思っていた


 だがどうだ?このシーンとした空気は。何で自己紹介だけでこんな重い空気になってるんだよそうだよ俺のせいだよクソが!



 「え、えっと自己紹介ありがとうございましたー。次の人どうぞー?」


 ここの教室の担任。名前はまだ知らないけどほんわかした感じの先生が重い空気を何とか破ってそう言った


 俺はとぼとぼと自分の席へ帰り座った


 何故だ?何故こんな事になった。もしかして俺と同じ趣味のやつはこの教室に一人もいないってのか?全員が同じ趣味ってことはほぼ無いだろうけど一人も居ないってありえるのか?

 もしかして、この自己紹介の仕方が悪かったのか?いやそんなはずはない。父さんがこれで大丈夫だって太鼓判押してくれたし大丈夫のはずだ


 そんなことを悶々と考えているといつの間にか全員の自己紹介が終わっていた

 ちゃんと聞いておけば良かったか?いや、俺が変な空気にしたせいでああ言うことを言う奴は居なかっただろう


 

 この教室が駄目なら、隣のクラス。一年生は一クラス三十人で三クラス。ここの三十人は駄目だったとしても他の六十人なら、一人、いや十人くらいは俺と趣味の合うやつがいるだろ

 でももしいなかったらどうしよう


 気がつけばもう帰りのHRが終わり机には何枚かのプリントが置かれていた

 

 一番後ろの席で助かった



 まさかあんな空気になるとはな。けど、まだ大丈夫だろ。まだ初日の浮かれで何とかなるレベルのはずだ

 そうでなきゃ俺の高校ライフはもう終わったことになってしまう!



 もう仲良くなったのかいくつかの固まりは一緒に楽しそうに喋りながら帰って行った

 教室には先生と何人かの生徒


 ここで余ってるのってもしかして俺のようなタイプの人間?それならもしかして


 そう思い一番近くの生徒に恐る恐る話しかけてみる



 「あ、あの、良かったら俺と友達に、、、」


 「あー、僕は。いえ拙者はそちらとは趣味が合いそうに無いのでね。早く帰って『萌え豚♡マジカル★キモタ君』の復習をしなければならないので」



 そう言ってそそくさと帰って行った



 俺は立ち尽くした。友達になれなかったから?違う、俺のようなタイプの人間が居たからだ!いないわけじゃないんだ、趣味が合わないだけなのかもしれない


 そう思うと少し気楽になった。というか大分浮かれた。だから最後まで残っていた綺麗な長髪をしている女子に話しかけてしまった



 「ねぇ、もしかして君もアニメ好きだったり、しない?」


 近付いてそう聞くと眉をひそめながらこっちを向いた。そして初めて気がついたが、中々の美人だ

 この人と趣味があったら、もしかしたらもしかしたりしてぇ!?



 「近寄らないでください。アナタみたいなオタク風情が私に話しかけないでください」


 

 ポキッ、何だか三年前に聞いたことのある音が聞こえた



 今回は悪い意味で呆然としていると彼女も帰ってしまった


 

 俺、もうこの高校生活無理かもしれない(泣)




 トラウマが!三年前のトラウマが蘇ってきている!誰か、誰か俺とともだちになってください!


 しかしもう教室には俺と先生しか残っていない



 「えーっと、大丈夫ですよ。まだ今日は一日目なんですから諦めないでください!」



 あっ、堕ちそう。俺、今の状態だったら少し優しくされるだけで誰にでも恋しちゃいそう


 駄目だ俺!堕ちるな!まだ友達出来ないって決まったわけでもないし、また明日頑張ろう!



 そう決めて先生にお礼を言って帰った





______________________________ 


 電車に乗り一時間、わざと中学から離したせいで大分家から遠くなってしまったがこれは無駄な徒労だったのかもしれないな


 電車内でネガティブな気持ちがじわじわと戻ってきてしまった。こういうときは早く帰ってアニメでも見ないとやっていけない



 だが、今日はよっぽど運が悪いらしい



 電車を降りて家への帰り道、ビル通りの暗く人目につかないところから悲鳴のような声が聞こえてきた



 

 しかし!今日はそんなのにかまっている暇は



 踵を返し無視しようとした瞬間、ガシッ、と心臓を掴まれたかのような感覚が襲って来る。それでも無視しようとすると次は脳みそを弄くられているような不快感が来る


 

 


 これは、この現象は呪いだ。この世で俺が一番クソッタレだと思っている爺の、忌々しい呪い


 

 おかしくなりそうな感覚がいくらたっても収まらない。次第に足がふらついて来てその場に座り込む


 本当に、厄介な呪いだ



 わかった、わかったよ!ちゃんと助けるから収まってくれ!


 

 そう思うと今までの不快感が嘘のように消え、それどころか逆に力が湧いてくる



 「クソが!」


 悪態を飛ばし俺は学生鞄の中からマスクを取り出した



 

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