自己紹介
漆川 英人、彼は見た目だけで言えば影が薄く人をよせ付けないような暗い雰囲気に見える
しかし心の中は、友達が欲しい一緒に遊んだりしてみたいあわよくば彼女も欲しいしチヤホヤされたい。いつもこう思っている
彼は中学の時、大きなミスを侵した。それは最初の自己紹介の時だ。彼は小学生の時からこうだったわけではない。むしろ元気ハツラツとしていて見た目は暗かったが素行は明るい子供だった
しかし過度な緊張、知らない人達、怖い顔の担任、色々な条件が揃いこのような不幸が訪れてしまったのだろう。彼は自己紹介の時にどもりにどもりまくった上に羞恥心や恐怖により黙り込んでしまった
たったこれだけ。これだけで周囲からの評価は概ね決まり彼はそれ以来喋るのが苦手になってしまった
だから、ここでは。この高校ではそんな失敗をもうしないために昨日から何十回と家で練習をして来たのだ
入学式が終わりそれぞれの教室に戻り、ついに自己紹介が始まる。彼の順番は早い。あ、と、い、の人が自己紹介を終わればもう彼の番だ。黒板の前に立ち深呼吸をして落ち着く
「漆川英人です。四月一日生まれ。好きな物はアメコミ、特撮物、王道系アニメ。特にスパイダ○マンとかアイアン○ン。この前やった『家から遠い』とかは最高でしたね。嫌いなジャンルは無いですけど全部見てるわけじゃないのでそんなに当てにしないでください。特撮物は仮面ライダ○は勿論ウルト○マンとか戦隊物も大好きです。持論としてはメビ○スが一番ですね。後は王道系アニメですが、これは範囲が広いんで詳しくは言いませんけど取り敢えずSFとかロボット物がここの所一位にずっと君臨してますね。やっぱりあれは男の心くすぐるというかっと、そういう話じゃなくて、自分では暗いとは思ってないんですけどよく他人からは影薄いとか言われるのでここから直していきたいと思ってます。ちょっととっつきにくいと思われるかもしれませんけど自分は全然友達とか欲しいので話しかけてきて欲しいです。この一年間よろしくお願いします(早口)」
彼は確かにこの学校では影が薄いとは思われなくなっただろう。だけどその代わりに、オタク、この印象が第一印象へとなった
ちなみに彼は暗殺者の血筋である