No.6 オーディナルの任務
勝ちのビジョンが頭に思い浮かぶ。
金下が速攻で、ナイフを突き刺すように俺の首を狙う。
おそらくナイフという凶器を過信しているがゆえの、大きな一振り。
数々の死線を潜り抜けた俺からすれば、子供の相手同然と言えた。
俺は敵のナイフではなく、相手の胸骨の動きを全て確認している。
動きを読み、左斜め下へ体制を落として完璧に躱す。
この時点でスピードの差は俺が完全優位。
素人のナイフは、一生俺に当たらない事を確信した。
「なっ!?」
金下が驚いた時には、もう俺のカウンターが始まっていた。
「それでも体育教師かよ……!おせぇ!」
身体を瞬時に反転させ、遠心力を使って足で金下の膝を振り払う。
バシッ!っと打撃音が響く。
「ガッ!?」
金下が膝から崩れ落ち、俺は再び正面に向き直る。
そしてエレクトリックショックの右手で、金下の脇腹に右フック。
バリッ!
電流が暴れる音と、拳の打撃音が入り交じる。
「へへっ!もう一撃ーー」
空いていた左手で、追い打ちのアッパーカット。
パシッ!!!
「あっ……!あっ!」
俺ーー『オーディナル』の任務はこれで完了になる。
「じゃあな。お前が次に目が覚めたら、そこは刑務所の中だから」
右手を相手の頭上に翳し、金下に制裁のカミナリを流し込む。
バリバリバリバリ!!!
激しい雷鳴が轟いた。
※
翌日の事。
学園内は騒々しく賑わっていた。