No.3 「そんな選択肢で後悔はないか」
「そんな選択で後悔はないか?」
月光に照れされながら、俺は少女を救うべく現れた。
漆黒のマントをまとい、黒い仮面で素顔を隠している。
「……!?だ、誰!?」
「我は『オーディナル』!人々に選択肢を与え、本当の自由へと導く者!」
耳元で通信機の向こうから、«我”等”だからね »と、訂正が入った事は一旦スルーする。
「な、なんだ貴様!?」
金下が震えた声で、こちらにナイフを向けて威嚇する。
けれど俺は怯むことなく、目の前の怯える少女に台詞を投げる。
「坂上よ。お前に選択肢を与える」
「選択肢……!?」
「ここで黙って変態ストーカー教師に襲われるか、それとも現実を足掻いて生きてみるか、選ぶのは君だ!」
俺が示した2つの選択肢。
少女は息を飲み、大声で選択する。
「わ、私は生きたい!こんな変態なんかに殺されたくない!」
俺はニヤリと笑みを浮かべーー
「よく言った!君の自由は、我等『オーディナル』が先導する!」
パッとスマートフォンを取り出しーーあるアプリケーションを起動する。
『アプリケーションーー』
メール。カメラ。アラーム。といった、スマートフォンに備わる多種多様な”アプリケーション”。
だがそれだけでは留まらず、『オーディナル』が所有するスマホ端末は、常識の壁を超えたーー異能力すらも可能にした。
右手人差し指で、左手スマートフォンのあるアイコンをタップする。
カミナリ表記のアイコン。
その瞬間ーー俺の右手が、黒いレザーグローブへと姿を変えた。
指関節部と、掌中心にメタルの材質。
『アプリケーションーー”エレクトリックショック”』