No.198 ショッピングデート
「そうだな。今年は何をプレゼントしようかな……」
以前さりげなく、小香に欲しい物はないか尋ねたことがあるーー
«え?欲しい物?そりゃあ勿論……愛かなっ»
ーー小学3年生の少女がなにやらドヤ顔でほざいていたが、愛ならお兄ちゃんが溢れるほどあげているだろうに失礼な。
スマホで今の時刻を確認した愛菜は、俺にある提案をした。
「よかったら今から、一緒にプレゼント探しに行かない?柚木くんもまだなら一緒に選ぼうよ」
これは嬉しい誘いだった。
小香へのプレゼントは最近多忙で中々探せていなかったし、それに同じ女子の愛菜がいてくれるのは心強い。
ーー丁度オーディナルの任務も今はない。それにルビーも今日は遅くなるって言っていたな……
俺は喜んで愛菜と時間を共にすることに決めた。
「ありがとう愛菜。是非お願いするよ」
「決まりね!じゃあ早速見に行こう!最近オープンしたばかりのデパートがあるの!」
愛菜は笑顔で歩きだし、俺は早足でその後を追いかけた。
※
俺と愛菜は小香のプレゼントを探すため、オープンしたばかりというデパートにたどり着いていた。
「柚木くんこっちこっち!」
無邪気に笑う愛菜は、様々な百貨店を順番に案内してくれていた。
プレゼント選びとは別に、色々なお店を歩き回ったが、愛菜がとても楽しそうで俺は嬉しかった。
「待てよ愛菜ー。歩くの早いからー」
「もう早く早くっ!置いてっちゃうぞっ!」
愛菜とこうして2人出かけるのは久しぶりだった。
テニス部の練習が忙しい事もそうだったが、なによりオーディナルの任務で連れ回してしまっていた。
けれど愛菜という幼馴染の少女は、今も変わらず美しい無邪気な笑顔を見せてくれる。
俺はこの笑顔が消えないように、改めて全力で守りたいと心から思った。