No.196 仲間……なんだよな?
「ここには他にも、体育倉庫や校長室に校舎裏。それに階段下の掃除用具ロッカーにも通じてる。何処から出入りしてもいいが、人気には細心の注意を払うように」
「分かってるよ」
完璧すぎる準備に、改めてルビーという先輩の凄さを実感するーー
「日々ここで私はーーシークレットコードの調査。音羽兄妹の監視護衛。女子生徒の下着色チェックを行う」
「おい明らかおかしいの混ざってんぞ?不純な動機で秘密基地使おうとしてる奴ここにいるんだが?」
「なんだ柚木?女子生徒パンチラの盗撮写真を、特別に1枚5000円で売ってやるぞ?だから警察には言うな」
「エージェントが盗撮なんかしてんじゃねぇ!安すぎるわ!」
「……そっち?」
奈留が眉をひそめて俺を見たが、あくまでルビーの愚行は、俺が絶対に止めると信じて欲しい。
「と、とりあえず……!こんな立派な秘密基地をありがとうって言っておく」
※
ルビーはやる事があると言い残し、俺と奈留はアジトを後にする。
生徒玄関で靴を履き替え、奈留と二人歩いて帰っていた。
「……ねぇ柚くん。さっきのルビーさん、ちょっと様子がおかしかったと思いませんか?」
«Jewelryには誰にも言うな。いいか?絶対にだ»
ルビーが俺たちにそう念押した。
別にJewelryメンバーに言いたい訳では無いが、アメシストに対してもあの言い方をした事に、俺と奈留は違和感を覚えてしまう。
「俺も、あのJewelryってチームについては何も知らない。現に未だ3人しか知らないからな」
「私……あのエメラルドっていう人が、ちょっと怖いです……」
エメラルドーー緑色のくせっ毛パーマヘアーで、不気味に不敵に笑う糸目の男。
Jewelryのメンバーで、当然ルビーの旧知の仲。
ーー仲間……ってことでいいんだよな?
俺はあのエメラルドという男に不信感を抱いていた。