No191 念願のお友達
「あ?お昼?」
「わ、私と……お昼を一緒に……食べてあげてもいいわよ……?」
「どんだけ友達に慣れてないんだよ!?分かったよ!昼くらい一緒に食べてやるよ!なぁ奈留?」
俺がそう言ったところで、真っ先に明日香が、目の色を変えて喜んだ。
「ほんとにっ!?」
まるで子供にオモチャを買ってあげた時のように、瞳をキラキラとさせて喜んでいる。
「……奈留は喜んでお前とランチするだろうよ」
すると大ファンである奈留は、何度も首を縦に振って言い返した。
「はい!勿論です!なんでしたら学校が休みの日でも一緒にお昼食べますよ!」
話が固まったところで、俺は再度明日香を退かすべく切り出した。
「それじゃまた今度ゆっくりお喋りするからーー」
しかしやはり、興奮が収まらない奈留は、別の話題に食い付いていた。
「明日香さん!迷惑でないようでしたら、その……イラストを生で見せていただけないでしょうか!?」
「おまっ!そんなことしてる場合かよ!」
当然俺のセリフは届かないーー
ご機嫌だった明日香は、ニコッと笑って快く首を縦に振った。
「えぇ、いいわよ?」
「ほんとですかっ!?ありがとうございます!」
もはやどちらが先輩か……
明日香が俺たちに見えるように、ノートPCの角度を変える。
キーボード下にあるタッチパッドを指でなぞり、手馴れた手つきで操作していく。
「ふふっ、お友達に絵を見せるなんてした事がなかったから、ちょっとドキドキするわね」
奈留は勿論眼をキラキラと輝かせてそれを見ていた。
「凄い!凄いです!本物……!あぁ!す、凄いですぅ……!」