No.19 リモートビューイング
「あまり過信するな。無敵になった訳では無いからな。けれど車に跳ねられたり、高い所から落ちたくらいじゃ死にはしない。まぁ……当たりどころが悪いとどうなるか知らないが」
元より過信なんかするつもりなんかない。
そのために今まで鍛えてきた。
「とりあえず妹をーー小香を取り戻したい!俺に力を貸せ!」
漆黒のマントが、激しく揺れ動く。
身体の底から漲る、怒りの炎。
ルビーはニヤリと笑みを浮かべ、スマホ画面を天井に向けながらーー
「柚木、初任務だーー」
『アプリケーションーー”リモートビューイング”』
ルビーがアプリを起動した瞬間、スマートフォンが光り輝き、蒼いレーザー光が空中に放射された。
瞬く間にそれらの光が、まるで映写機のように、部屋全体に立体的なモニターを作り出した。
所謂CGと呼ばれる。
その光景はまるでーーSF映画の秘密作戦室。
「すげぇ……」
俺はその光景に圧巻されていた。
近未来感を思わせる、ARーー仮想現実の中にいるような錯覚。
部屋の中心に、浮くように現れた球体状の世界地図。
それを手馴れたようにルビーが両手で操作。
「先ほどの私のメールに、音羽小香の写真データを転送頼む」
俺は不信感よりも、妹を助ける想いを優先させた。
ルビーに小香の写真データを転送する。
受け取ったルビーは、自身のスマホから浮き出るように出現した、小香の写真データを物理的に掴み取る。
「画像を掴んだ!?」
当然俺はそれに驚いたが、ルビーは構わず続けた。
そして掴んだ画像をーー球体立体地図ホログラムに、ガバッと埋め込んだ。
「顔認証完了。続いて生年月日……9月4日。氏名……音羽小香。身長体重。それからスリーサイズはーー」
ブツブツと口にしながら、スマホに各項目を書き出していく、
俺が答えずとも全て調べがついているようで、流石に悪寒が背中を走る。
「スリーサイズは果たして必要な情報なのか……?」