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オーディナル~昼は女子高生、夜はヒミツのエージェント  作者: Froncs
オーディナルリーダーの苦難
189/275

No.189 友達を作る理由

「は、はい!勿論ですっ!例え爆弾魔に脅されたとしても言いません!」



ーーお前がその例え使うと冗談に聞こえないんだが……



 しかし今俺が何を言ったとしても、おそらく興奮する奈留には何も届かないのだろう。



 それにしても、明日香がいくら現役イラストレーターとはいえ、放課後のこんな時間に、こんな美術室で独り仕事している訳が気になった。



「明日香はどうしてこんな所で仕事を?ずっと独りなのか?」



「そうよ。独りが気楽だし、私は病弱って設定で学校に言ってあるから、それでよく授業も休んだりしてるのよ」



「……ちょっと聞きにくいんだけど、友達とかはいないのか?」



「いないわ。人と話すのって、なんか昔から苦手で……」



 明日香はしれっと吹っ切れているみたいにそう言った。


 確かに第一印象から、俺に対して厳しい態度をとっていたな。



 休みがちなクラスメイトがいたら、親睦を深めるのも難しいか……



「そうなのか……なんかすまない」



「別に謝ることなんか何も無いわ。別に友達なんて、無理して作るものでもないでしょ……」



「明日香……」



「友達いるから何?って感じだし……私、群れるのは嫌いなのよ……」



 そう強気なセリフを言う明日香だったーー


 しかしそんな明日香を見て、俺はーー自分の姿を重ねてしまっていた。



「同じだな……」



 俺はボソッと無意識に呟いていた。



「……柚くん?」



「……いやーー」

 


 過去に親父のせいで、急な転校引越しをさせられ、新しい地に馴染めず、孤独を経験していたこと。

 その時は愛菜のおかげで、俺はなんとか今日までやっていけた訳だ。



 今は俺が誰かを支える番じゃないのかーー



 俺は愛菜の顔を思い出しながら、目の前で孤独と戦う明日香に向けて、続けて手を差し伸べるように言った。



「ーー明日香……だったら俺たちが、お前の初めての友達になってやるよ」

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