No.181 キッズ携帯だけど
小香に新品のスマートフォンを手渡した。
「スマホ!いいの!?」
「キッズ携帯だけどな。俺が学校に行ってる間、このお姉ちゃん達がお前を守るけど……まぁ、念には念をってやつだよ」
防犯用に先日、携帯ショップで新規契約しておいた。
それを横目で見ていたルビーが、ニシシと笑って小香に言う。
「よし小香!オススメのスマホゲームを教えてやる!一緒にアメシストをボコボコにするぞ!」
その光景は、まるで姉妹のように無邪気に笑い合っていた。
俺はニコッと笑い、ルビーに強く釘を打つ。
「課金はさせるなよ」
※
キーンコーンカーンコーン。
青空学園の時報チャイム。
4時間目の授業が終わり、同時に昼休みの開始を知らせるチャイムだ。
教師が慌てて授業のまとめを話だしていたが、周りの生徒は既に空腹からか浮かれモードだった。
俺の隣の席でーー教科書を立てて前壁を造り、ヨダレを垂らしながら机にうつ伏せる、赤い猫耳パーカーの症状が気になった。
「おい……おいって……愛菜……!」
ーーチャイム鳴っても気づかずまだ寝てるって、どんだけ眠いんだこいつは……!
俺が優しく揺すって試みるが、愛菜は気持ちよさそうな寝顔を浮かべたまま。
そしてそんな愛菜に、次の瞬間悪夢が襲いかかるーー
教師が授業を締め、気だるそうに言った。
「えーっと……それじゃ終了の号令は、教は一日だから出席番号1番。赤髪よろしくな」
ーー出た。教師の謎あるあるの一つ。
今日の日付と同じ出席番号の生徒を指名するあれだ。
これは40人近くいる生徒数の中で、1ヶ月の日付けが最大31日までしか存在しないにも関わらず、何故か発生する謎あるある。
「お、おい愛菜……!起きろ……!1番はお前だぞ……!」