No.180 好きな人!?
「もちろん!何でも作れちゃうよ!」
何故か全て小香が、まるで自分の特技のように嬉しそうに語っている。
「ふむ……!チョコチップ増し増しで頼むぞ!」
ルビーは目をキラキラと輝かせて、勝手に注文をつけてきた。
ーー勝手に話を進めるな……!
「お兄ちゃん凄いの!私も将来好きな人とかできたら、バレンタインはお兄ちゃんが作ったお菓子を、こっそり私が作ったことにしてプレゼントするんだ!」
突然の台詞に、俺は目を見開いて言い返す。
「待て小香!お前す、好きな人とかいるのか……!?」
自分では気が付かなかったが、かなり俺の声は震えていた。
そんな俺に小香は、べーっと舌を出して言い返した。
「お兄ちゃんは教えないよーっだ!」
「いるんだな!?よーし分かった!まずはその男を特定して、俺がそいつをミキサーにかけてジュースにしてやる!!俺はそのためにオーディナルになっーー」
そこまで言ったところで、ルビーは口封じに俺におしぼりを投げ付けた。
「黙れロリコンシェフ!」
「ゴハッ!」
顔面におしぼりが命中。
それを見ていた、食卓で据わって笑っていたアメシスト。
クスクスと笑いながら、手を合わせて合掌する。
「ご馳走様でしたです。大変美味しかったです」
いつの間にかメイド服に着替えていたーー
自分で着替えたのか、それともルビーに無理矢理着させられたのか……
ーーもうそのメイド服が常備服なんだな……
メイドに食事を用意するという違和感な光景。
それでもやはり、食べてもらって美味と言われれば嬉しくなる。
俺は時間を確認し、学生鞄を手に取った後ーー
「小香。お前にプレゼントだ」
小香に新品のスマートフォンを手渡した。