No.175 私とあなたとの大切なヒミツ
同級生にバレてしまった恥ずかしさと、以前ルビーに脅されていた事を思い出して激しく取り乱す。
«……もし、他人にお前の正体がバレたら、私はお前の性癖、エロ動画の隠し場所、その他諸々全人類にぶちまけるからな……!»
俺の社会的地位は消滅する……!
焦り戸惑っていた俺を見て、奈留はクスッと可愛い笑みを浮かべた。
「分かっていますよ音羽くん。ルビーさんにバラさないように言われてるんですよね?」
「うっ、ご、ごめん……」
「それじゃこれは私と音羽くん、二人だけの秘密って事にしましょう」
何やら楽しそうに、嬉しそうに奈留は言った。
「……怒らないのか?俺がビーストだって隠してたのに……?」
「怒りませんよ。むしろ、嬉しかったんです」
「う、嬉しかった?」
「はい。音羽くんは最初から、ずっと私のことを守っていてくれたんです……音羽くんが、私を救ってくれたヒーローさんだったって分かったんですから」
差し込めるあかね色に染まる夕日が、奈留を暖かく包んでいた。
そのせいか、奈留の頬が紅く輝いていた。
うっとりとしたその表情に、俺は思わず声に出そうになっていたーー
ーー美しい……!か、可愛い……!
「ひ、秘密にして欲しい……!バレたら色々と面倒なんだ……!」
ドキッとさせられた俺は、照れた表情を誤魔化そうと右を向く。
不自然な仕草の俺に、奈留はくすくすと再度笑ってゆっくりと口を開いた。
「分かっていますよ……私達二人だけの秘密です。では、私からももう一つ”ヒミツ”。いいですか……?」
「えっ……?」
俺は覚えのないもう一つの”ヒミツ”について、訪ねようと視線を戻そうとした所でーー
低身長の奈留は、つま先をクイッと伸ばして近付いた。
「はい。これは、私からの感謝の気持ちです……」
ふわっと香る甘い香りとともに、奈留の柔らかくてあたたかい唇がーー俺の頬に優しく触れた。
「……!?!?」
突然の思いがけないキスに、俺は戸惑って目が回る。
そんな俺に奈留は、人差し指で俺の口を優しく閉ざす。
そして夕日よりも赤く紅潮させた奈留は、照れながらも、ニコッと笑って可愛く言った。
「これが私からの、もう一つのヒミツです。二人だけの大切なヒミツです。これからもよろしくね……”柚くん”」
第2章完結です!改めて皆さまに感謝です!