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オーディナル~昼は女子高生、夜はヒミツのエージェント  作者: Froncs
VS爆弾魔 青空タワーの決戦
173/275

No.173 罪と責任感


 俺は昨夜の奈留との通話を思い出す。


 同じスマートフォン内に、音羽柚木とビーストの二つのアドレスを持ち、使い分けていた。



「ーー昨夜奈留が、俺……音羽柚木に電話してきた。出たら電話の向こうであいつが、わんわん泣いて謝ってきたんだ」



«謝ってきた?だから柚木は昨日少し帰りが遅かったのか»



「うん。脅迫されたからといって、音羽柚木を爆弾魔の言いなりにおびき出そうとした事。結果的に殺してしまいそうになっていたと……」



«けど柚木お前は»



「あぁ、勿論音羽柚木はその件について何も知らない事になっているから、俺は惚けたフリをして話を聞いたよ。けど奈留は、そんな俺にも嘘偽り誤魔化し一切無く、全てを話して謝ってきたんだ」



«あいつ自身、相当あの件に責任を感じていたみたいだからな……それこそ、スマホを覚醒させるという奇跡を起こす程に……»



「罪を感じて苦しんでる奈留を、俺は救いたいと思った……ってか、奈留は今回の事件の被害者なんだ。愛菜と一緒に、この街の悪を打ち倒す手伝いをしてもらおうと思ってるよ」



«その方があの女も気が楽だろうな»



「俺も仲間が多い方が助かるよ。早くーーオヤジを見つけ出し、『シークレットコード』とやらの呪いを解くんだ……!元はと言えばこれのせいで……!」



 小香がヤクザにさらわれた時もそうだ。


 俺たちを苦しめている元凶は、全て俺の親父にある……!



«私も音羽雄我について、何か情報が入り次第共有する。とりあえず今日はもう帰ってこい»



「分かったよルビー。きょ、今日も特訓するのか……?」



«当たり前だろ?この美人で優しいルビー様が、朝までみっちりシゴいてやる»



 フッと笑いながら、ルビーはその通話を終了させた。



ーーあいつの特訓はスパルタ女王その物だ……!



 俺を強く鍛えるためとはいえ、精神的に肉体的に全身悲鳴を上げる。


 肩を落としてこの場をゆっくり後にした。



「あぁ……憂鬱だ。何が美人で優しいだよ……!あの痴女先輩が……!」



 屋上階段を降りて、階の途中で俺は未だアプリの解除を忘れていた事に気がついた。

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